法相の諮問機関・法制審議会の家族法制部会が1月30日、離婚後にも父母双方に子どもへの親権を認める「共同親権」導入を盛り込んだ民法改定要綱を了承したことに、DV(夫婦間などの暴力)被害で離婚した当事者などから、懸念の声が広がっています。
導入されることで、子どもの進学や転居などの際に双方の合意が必要になります。合意が難しい場合は、家庭裁判所で判断を求めることになります。離婚した後も、関係が強制的に継続することになり、安全な生活が守れなくなる恐れがあります。
要綱案は、DVや虐待の恐れがある場合は、片方の親を親権者にするとしていますが、当事者からは「夫婦間の力関係が平等でない場合や、深刻なDVから逃れるために早く離婚をしたい場合など、意思に反して共同親権に合意することも考えられる」と心配の声があがります。
議論の拙速さに危機感を覚えた当事者らが、「ちょっと待って共同親権プロジェクト」を立ち上げ。ホームページで、岡村晴美弁護士が共同親権について問題点を紹介する動画や、上野千鶴子さん(社会学者)、竹信三恵子さん(ジャーナリスト)、小川富之さん(民法学者)ら識者へのインタビュー動画を掲載しています。
ホームページでは「そもそも離婚後の共同親権とは?」「単独親権のせいで子どもに会えない?」「海外では共同親権?日本もそうすべき?」「共同親権を導入すれば養育費不払いが減る?」など、共同親権をめぐって寄せられるさまざまな疑問も解説しています。
また、同プロジェクトは、オンライン署名サイト「change.org」で「STOP共同親権」署名を呼び掛けています。1月30日から始まった署名は6日時点で、すでに4万5千人を超える賛同を集めています。
東京民報2024年2月11日号より