東京外かく環状道路工事に伴う調布市東つつじヶ丘付近の相次ぐ地表陥没事故現場付近の地盤改良工事をめぐり、施工を行う鹿島建設JV(共同企業体)が住民の行動を監視・盗撮した上に蔑称を用いてインターネット上のチャット(文字会話)で情報共有をしていた問題で8、14日の両日、日本共産党の山添拓参院議員らが国土交通省や関係機関から聞き取りを実施しました。吉良よし子参院議員、都議、関係地域の地方議員と住民が参加。国土交通省と工事を担当するNEXCO東日本が応対しました。
8日の聞き取りではNEXCO東日本が「事実を鹿島建設に確認中」だとしつつも「鹿島建設らのチャットの使用」と「工事の安全確認のためのカメラの設置」は認め、「工事の騒音や報道関係者がいた場合の報告を受けたり、求めたりすることもある」と述べました。
盗撮・監視や蔑称での情報共有などについては、「(しんぶん赤旗で)記事化される過程での質問書で知った」として、是非については「仮定の話には答えられない」と一切言及をしませんでした。
家をのぞき報告
14日には国交省、NEXCO東日本は資料さえ一切示さず臨席。13日付で鹿島建設が公開したチャット利用の事実と「礼節を欠く表現があった」と認めるプレスリリースにもとづいて聞き取りが行われました。
NEXCO東日本は鹿島建設と同様に「礼節を欠いた表現について不適切、かつ遺憾」だと語りました。国交省は「NEXCO東日本の言う通りで何もない」と発言。両者とも刑法に触れる盗撮などについての認識を語るどころか、謝罪も避けました。一連の不法行為に対する関係者の処分や、JVに参加する他社のチャット参加者などに対する調査についての質問にも回答しませんでした。
山添議員は「チャットの内容で『まとめてNEXCOに報告します』『工事長に報告します』とあるが、何がどのように報告されているのか」と問いただしましたが、具体的な回答がないために「社内調査が必要だ」と厳しく指摘しました。さらに「『(近隣住民が)2階から(工事現場を)のぞいている』というチャットでの表現は普通だが、他人の家をのぞく行為自体はプライバシー侵害だ。不適切、礼節を欠いたというのは具体的に何を指すのか」と追及。
吉良議員は「住民の行動を、家の中での様子まで報告している。これはあなた方の言う安全確認ではなく、住民監視だ」と強調しました。
NEXCO東日本は住民の問いに「他の工事現場では同様の行為はない」と語りました。しかし、同道中央ジャンクション(事業主体はNEXCO東日本)南側の関係住民が「1月30日、住民が行った家屋調査時に大林組JVの人がくっついて回って写真を撮っていた。これは何の安全確認なのか」と告発。議員らは「きちんと誠意をもって、事実関係を確認して説明すべきだ。この問題が解決するまですべての工事を止めるべきだ」と指摘しました。
東京民報2024年3月24日号より