JR埼京線十条駅西口地区(北区)の市街地再開発事業に反対する地権者と周辺住民が東京都を相手取り、事業にかかわる組合設立認可処分の取り消しを求めている行政訴訟で、東京高裁(吉田徹裁判長)は3月27日、控訴人の訴えを棄却する判決を出しました。
同再開発事業は、十条駅の西側に隣接する約1.7ヘクタールの地区に、高さ約146メートル(地上39階、地下2階)の大規模な超高層ビルを建設する計画です。
訴訟の大きな争点は、組合設立要件である、区域内地権者3分の2以上の同意の有無。2007年に再開発準備組合が設立されたものの、地権者から所定の同意が長らく得られず、2017年にようやく僅差で再開発組合の設立が認可された経緯があります。
控訴人らは、各土地の共有持分における数え方の疑義、借地権申告をしていない借地権者の扱い、定款や事業計画の変更時に改めて同意を取得する必要性などを訴えましたが、退けられました。
新たな争点として、同事業計画を進める過程で、補助73号線に2カ所、不自然な屈曲点が設けられたことを主張。これにより、減築面積の拡大や権利床の取得など、大きな影響を受ける地権者が存在し、再開発に対する賛成率が変わる可能性もあります。
判決では、「準備組合がデジタル実測図(都市計画道路の位置を縮尺500分の1で示した図)に基づき本件道路を設計したものの、道路がコンクリート建造物と抵触することが判明したために屈曲させた(要略)」という被告側の主張を認めました。
地権者の控訴人は、判決に納得できないとして上告する構えです。
東京民報2024年4月7日号より