隅田川 桜の歴史を新史料で 区郷土文化資料館で企画展〈2024年3月24日号〉 

 桜の見物客で墨田川周辺がにぎわう時期を前に、墨田区のすみだ郷土文化資料館(同区向島)で16日から、隅田川の植桜の歴史をたどる企画展「大熊喜邦旧蔵 隅田川御殿三図と隅田堤の植桜」が開催されています。

 「隅田川御殿」は、徳川綱吉が鷹狩で訪れることを想定して、同区の木母寺(もくぼじ)の境内につくられた建物。その設計図「隅田川御殿御指図」と、その設計図を転載し周囲に隅田川の堤に植えられた桜などの配置を書きこんだ「隅田川御殿之図」(原図)、さらにその謄写図の3点を、「隅田川御殿三図」と名付けて、初めて一堂に会して展示するものです。

展示された「隅田川御殿之図」原図(手前)と謄写図=墨田区

 「隅田川御殿之図」謄写図は、東京市が東京の歴史資料を集めて1929年に刊行した「東京市史稿 遊園篇」に収録されています。隅田村の名主だった坂田家に伝えられてきたものを、日本建築の研究で知られた学者、大熊喜邦氏が写したものです。同市史稿には、坂田家の子孫が、隅田川に桜の並木がつくられた経緯を語った「隅田村名主坂田氏書上」も収録されており、隅田川の植桜の歴史をたどる史料として広く活用されてきました。

 謄写図は現在、東京都公文書館が所蔵しており、企画展で展示される原図と指図は、大熊氏の子孫から、すみだ郷土文化資料館に寄贈された史料に含まれていました。寄贈された史料には、所在が分かっていなかった「坂田氏書上」の原史料や、この書上が向島5丁目に今も残る「墨堤植桜之碑」の碑文をつくる過程で書かれたことがわかる資料も含まれていました。

 一連の大熊家旧蔵の史料は、同館に2013年に寄託、2022年に寄贈されており、寄贈を記念して、この間の研究の成果を紹介することも企画展のねらいです。同館学芸員の福澤徹三氏は「新史料によって隅田川の植桜の歴史を、さらに正確に明らかにできそうです」と期待を話します。

 このほか、浮世絵などに描かれた隅田川を通じて、植桜が現在の形になっていく過程をたどる展示もあります。

 企画展は5月19日(日曜日)まで。

東京民報2024年3月24日号より

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