不当解雇・差別は許さない 東京地評が争議支援総行動〈2024年9月29日号〉
- 2024/9/30
- 労働・市民
「被解雇者のうち、誰ひとりたりとも現場復帰できていない。これは整理解雇ではなく、安全のためにモノ言う労働者の排除だ」との声が、日本航空本社前でこだましました。都内の労働組合の地域ナショナルセンターである東京地方労働組合評議会(東京地評)は19日、加盟組織でたたかわれている労働争議の解決を求めて行動を展開。11の会社や官公庁前に当事者、支援者らが集結し、法令の順守と早期解決を訴えました。
2010年大晦日に人員削減が目標を超過達成し、運行に必要とされる人員が不足する状態であったにもかかわらず、年齢と病歴をもって一律にパイロット・客室乗務員165人を解雇したJALを相手に解雇の無効を訴え続けるJAL被解雇者労働組合(JHU)の行動には、150人超の支援者が集まりました。
JALはこの問題で超党派の国会議員27人から共同で出された「公開質問書」にも正面から答えていません。支援者らが次々とマイクを手に「稲盛和夫元会長が『利益なくして安全なし』と言ったが、この体質が正月の羽田空港での衝突炎上事故や相次ぐインシデントを引き起こした。見直すべきだ」と訴えました。
また、一連の行動中、JHUの山口宏弥委員長は「JALは、被解雇者の機長が働くスプリングジャパンを子会社化してJALの成田―北京便、成田―上海便を同社に運行させている。同社の機長がJALの身分証明書を所持して中国まで操縦している。被解雇者の優先雇用もせず、このような働き方を強いるのは労働力搾取だ」と批判。参加者が「とんでもない。蛮行だ」と声を上げました。
日本IBMの完全子会社のキンドルジャパン、日本IBM前でも行動が取り組まれました。同社の定年後の再雇用制度では新入社員と同様の賃金体系にされながらも、職務の内容は現役時代と変わらないままとなっている問題で是正が求められています。
原告のひとり、杉野憲作さんは「今やIT分野は水道、電気、ガスなどに次いで第5のインフラだ」と切り出し、「米国本社では60歳定年退職はありません。年齢差別が禁止されているからです。しかし、日本は100%子会社にもかかわらずシニア契約制度を作って差別し続けている。許してはならない」と力を込めました。さらに「兵庫県知事のようなパワハラ発言があることは日本IBMでは日常的に聞く。ただすべきではないでしょうか」と訴えました。
医療難民が地域に
「80年の歴史を持ち、地域の医療を支えていた厚生荘病院を一方的に閉院した。湖山泰成理事長は、地域医療を破壊した責任を取れ」―中央区銀座の湖山医療福祉グループの本部前では、多摩市の厚生荘病院の閉院(2021年12月31日)で、解雇された同病院の労働組合員の解雇撤回などを求めて、支援者、病院周辺住民らが声をあげました。
住民でつくる「厚生荘病院の働く人たちと医療を守る会」のメンバーは、「病院閉鎖で、医療難民が生じた。地域で取った三度目のアンケートでも、病院再開を求める意見が寄せられ続けている」と報告。吉田ちよ同病院労組委員長は「湖山グループが経営に参加して以来、人事評価制度などを一方的に導入する一方で、理事らによる不正経理が続いた。『不正経理をするような理事たちに、自分を人事評価して欲しくない』と去った同僚もいた。希望退職に応じなかったから、解雇などあってはならない。撤回までたたかう」と決意を表明しました。
東京国税局前では障害者差別を受け分限免職(解雇)処分とされた原口朋哉さんの職場復帰を求めて多くの仲間が、「処分撤回。差別・ハラスメントを許さない。税務の職場で障害者が安心して働き続けられる環境を準備すべき」と強く求めました。
最後は東電ホールディングス前に全員が集合。東電パワーグリッド社の100%子会社の東光高岳社やワットライン社の団体交渉拒否問題や組合員の差別・解雇などに抗議の声を上げました。ワット社は東京地裁の団体交渉開始緊急命令を無視し、不誠実な対応を取り続ける姿勢を改めるように求めました。
東京民報2024年9月29日号より