同性婚認めずは「違憲」 東京高裁 結婚の自由裁判で判決〈2024年11月10日号〉
- 2024/11/10
- ジェンダー問題
民法や戸籍法が同性婚を認めていないのは憲法に違反するとして、東京都などに住む7人が国を訴えた「結婚の自由をすべての人に」東京1次訴訟の控訴審判決が10月30日、東京高裁でありました。谷口園恵裁判長は「個人の人格的存在と結び付いた重要な法的利益について、合理的な根拠に基づかずに、性的指向により法的な差別的取り扱いをするものだ」として、「法の下の平等」を保障した憲法14条と、婚姻や家族をめぐる法整備のあり方を定めた憲法24条2項に反し「違憲」と判断しました。
判決は、婚姻は両性の合意のみに基づき成立すると定めた憲法24条について、婚姻を当事者間の自由で平等な意思決定にゆだねられるべきだという趣旨で、憲法制定時に同性婚の可否について議論に上らなかったものと指摘。「同性間の関係についても、人生の伴侶と定めた相手との永続的な人的結合関係について、法的身分関係の形成ができることは、安定的で充実した社会生活を送る基盤をなすもの」で、重要な法的利益だと認めました。
同性間の結婚では自然生殖の可能性が生じないとの主張に対しても、「現在でも、婚姻した夫婦間における子の養育は、夫婦間の自然生殖によってもうけた子のみを対象として行われるものではない」と、多様な家族のあり方を指摘。新たに同性間の結婚に法的保護を与えたとしても「男女間の婚姻に与えられてきた法的保護は何ら減じず、婚姻制度がこれまで果たしてきた次世代の構成員の確保につながる社会的機能を今後も引き続き果たしていくことに支障をきたすとは考えられない」として、同性婚を認めないことに法的な合理性はないと断じました。
また、さまざまな意識調査の結果などから、同性婚への「社会的受容度は相当程度高まっている」とも述べています。
立法化を早く
同種の訴訟は、全国5カ所の裁判所で6件が争われています。高裁判決は3月の札幌高裁に続き2件目で、いずれも違憲判断となりました。東京1次訴訟の地裁判決は憲法14条1項については合憲、24条2項については「違憲状態」としていました。
判決後の会見と報告集会で原告の小野春さん=仮名=は、「法廷で違憲という言葉がはっきり聞けて、本当にうれしく、胸がいっぱいだ」と語りました。「裁判長が、いろいろな家族のあり方があるとはっきり言ってくれた。裁判を一緒に聞いた、子どもの一人と『これで動くね』と喜びあった」と明かしました。
原告の小川葉子さんは「提訴からの5年間で、同性婚の法制化を求めながら、亡くなった知り合いも多くいる。時間がない。国は一刻も早く立法化に動いてほしい」と求めました。
各地の裁判をたたかう原告、弁護団からは「たたかいの積み重ねで、より良い判決への前進を勝ち取ってきた。最高裁での勝利と、立法府での法制化を必ず実現しよう」との発言が相次ぎました。
東京民報2024年11月10日号より