バス路線 移動手段の確保から議論を 三多摩ネットで学習会〈2024年12月1日号〉

 相次ぐ路線バスの廃止や減便をめぐり11月19日、「バス路線を守る三多摩ネットワーク交流集会」が開かれました。集会は同ネットワーク準備会が主催し交通運輸政策研究会の会長でもある立命館大学の近藤宏一教授が「公共交通を地域のインフラに」と題してオンラインで講演しました。

交流集会で発言する清水都議=2024年11月19日、日野市

 近藤教授は「人などが自らの要求や必要を満たすために、それに必要な移動を行うこと」を交通の定義として、「『困る』からではなく、人と物の移動に必要な根本問題に目を向け、具体的に移動のニーズをどう満たすのかから発想することが必要だ」と説きました。「マイカーから公共交通への移転が一方的に望ましいという考え方が、今後も通用するとは限らない」と述べました。

コロナ禍以前から公共交通の困難が

 さらに「コロナ禍以前から地域公共交通の経営は苦しい。主にバス事業者の収入が伸びず、もはや収益事業として成り立たない」と指摘。「経営側の人件費比率は高く、バス運転士労働条件の改善の原資に乏しいため給料が上がらないので運転士も増えない。人手不足のため労働時間が増える悪循環が生じている」と強調しました。

 「人口減少により交通機関の担い手が減少している」として、バスの運行に必要な大型二種運転免許を保有する若者が少ないことをデータで示して説明。「少々の予算を増やしたからといっても、現在のような公共交通が維持できるとは限らない」とし、都バスが多摩地域から撤退し、民間が路線を引き継いだ後で廃止路線となった例などを挙げて語りました。

 地域交通の課題について近藤教授は「人々が移動する目的を満たすことを保障するための『持続的な地域交通』が課題だ」として、「代替可能な移動のニーズを満たすために、出来るだけ効率的に交通手段を確保する」と、路線バスにこだわらない多様な手法も用いることを提案しました。

 また「独立採算制原則の転換」を打ち出し、財源の多様化についても言及。住民自身に求められているものとして「移動ニーズの突っ込んだ議論」を提起。「バスを残して欲しいかと問えば、残して欲しいと答えるが実際は利用しない人が大半なために、住民の意向を無視して廃止する根拠になっている」として、「なぜ残して欲しいのか、根本的なニーズを満たすという視点から人々の足を守る方策を考える必要がある」とまとめました。

 集会には日本共産党の清水とし子都議も参加し、「日野市はコミュニティバスに年間1億5000万円支出しているが、都は立ち上げの時から3年間だけしか補助金を出さない。2021年度は都全体で1億数千万円しか支出していない。東京都は、都営(交通)は都の仕事で、民間路線バスは当該自治体が考えることと言うが根本から考えてもらいたい」と述べました。

東京民報2024年12月1日号より

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