「他党にも丁寧に意見を聞き、真摯に、そして謙虚に、国民の皆様の安心と安全を守る」―石破首相が29日、所信表明で語った言葉です▼自民、公明が衆院の過半数を割った総選挙を受け、これまでのような強行採決ありきの国会運営が難しくなったことを反映した言葉です。実際、臨時国会を前に26日に開かれた政治改革をめぐる与野党協議は、立憲民主党の要求を受け、全面公開の場で、各党がそれぞれの考えを表明する形で開かれました▼所信表明で石破氏は、焦点の一つである、企業・団体献金の禁止には一切触れませんでした。その後の代表質問で問われると、「企業・団体献金自体が不適切だとは考えていない」として、「避けるべきは、献金によって政治がゆがめられること」と答えました▼実際は、自民党政治のもとで企業献金が横行したことは、政治に大きなゆがみを生んできました。中小企業や庶民には消費税など重い税負担を負わせながら、大企業や富裕層には減税を繰り返してきた税制のゆがみはその最たるものです▼日米同盟堅持の姿勢や、「失われた30年」の経済政策への反省のなさなど、従来の自民党政治を踏襲する言葉が並んだ所信表明。政治の大きな転換を求めた衆院選の民意とは、かけ離れたものです。
東京民報2024年12月8日号より