街角の小さな旅59 モノづくりとしての印刷の文化と歴史 本と活字館と神楽坂界隈〈2025年7月6日号〉

 「市ヶ谷の杜 本と活字館」はJR市ヶ谷駅から江戸城外堀を渡って左内坂から安藤坂をあがった先の大日本印刷の敷地に広がる市ヶ谷の杜にあります。

 同館は大日本印刷が「活版印刷を中心とした印刷所であると同時に、モノづくり工房として、印刷の奥深さ、美しさを体感」してもらう施設として本社・工場施設に併設したものです。

 日本の印刷文化は長い歴史をもっていますが、その中でも西暦770年・奈良時代に印刷された「百万塔陀羅尼」は刊行年代が明確な世界最古の現存印刷物。その後、江戸期に機械式印刷が伝来しましたが、折からの切支丹弾圧によって消滅。江戸中期以降の浮世絵や草双紙などの木版摺りによる印刷が定着ののち、文明開化の流れのなかで西欧文化とともに機械式印刷技術が普及、今日の日本の印刷文化がつくりあげられました。

 その日本の印刷は長い歴史、東洋や西欧からの影響、担い手や技術が多様などの特徴があります。

市ヶ谷の杜 本と活字館

 大日本印刷は1876年に英国より秀ひいでることを指す「秀英社」という社名でスタート。「明朝活字の二大潮流」といわれる秀英体はこの秀英社が創造した活字体です。

 本と活字館は1926年に建設された時計台のある建物を復元したもので、建物の1階にはかつての印刷工場の風景を再現した「印刷所」があり、毎日、職人が活字を拾って版をつくり、印刷機を回して印刷物をつくる活版印刷が見学できます。2階には企画展スペースがあり、10月19日まで「ギャビー・バザン デザインのアトリエ 活版印刷」展。イベントやワークショップも楽しみです。制作室では印刷と本づくりが体験できす。

神楽坂

 本と活字館をでて住宅街を東に歩みをすすめると、「春の海」を作曲した宮城道雄記念館(現在、リニューアル工事中)があり、神楽坂にでます。

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