【読書 今月の本棚と話題】 民主主義の隙間狙い勢力拡大 『ルペンと極右ポピュリズムの時代―ヤヌスの二つの顔』渡邊啓貴 著〈2025年9月21日号〉

 欧州各国で極右の台頭が目立っている。日本でも先の参院選挙で同じような状況が生じた。政治風土の違いはあるが、排外主義、既成政党批判など共通項は多い。国際社会が戦争、紛争、対立の不条理な状況に置かれる中で、ソーシャルメディアを多用し、大衆の不安をあおり立てて拡大を図る手法も似ている。本書は昨年の欧州議会選とフランス下院選で躍進した極右、国民連合(RN)の歩みに焦点を当てて、同国の政治動向を分析した力作。著者は駐仏公使を務めたフランス現代政治の研究者である。

白水社 2025年
2750円(税込)
わたなべ・ひろたか 1954年生まれ。東京外語大卒フランス語学科卒。東京外大教授、日仏政治学会理事長など歴任。現在、帝京大学法学部教授

 主人公は1972年に極右勢力が統合して結成された国民戦線(FN、後にRNに党名変更)の初代党首ジャン・マリ・ルペンと、「家産政党」のRNを結束して支えてきたルペン一家だ。著者はRNの軌跡をルペン家の「成功物語」と呼び、極右だからといって異端視すべきではないとした上で、理性をねじ曲げた巧妙な戦術で支持を拡大してきたと指摘。民主主義は「理想の果てしない追求」であるが故にコストと不安定を伴う営みであり、そこに極右が伸長する隙間があったと結論付けている。

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