アメリカを代表する俳優の一人で、9月に亡くなったロバート・レッドフォード氏の代表作の一つが「大統領の陰謀」です▼ニクソン大統領のウォーターゲート事件を題材に、真相を突き止めようと奮闘する若きジャーナリストを演じました。その映画でも、アメリカの大切な価値観として描かれたが、合衆国憲法修正第1条が掲げる言論や報道、表現の自由です▼その自由が、トランプ政権のもとで揺らいでいます。コメディアンで司会者のジミー・キンメル氏の人気番組が一時、放送休止に追い込まれました。キンメル氏は、もともと、反トランプの姿勢が鮮明で、笑いで政権をこき下ろしてきました。保守系活動家の殺害をめぐる同氏の発言が政権から問題視され、配信元のディズニーが無期限休止を決めていました▼決定には、著名人や、政治的な立場を異にする人たちからも抗議が寄せられます。キンメル氏は、再開最初の番組で、「気に入らないコメディアンを政府が黙らせることは、反米的だ」と訴えました▼番組再開にいたる過程は、表現の自由を大切にする価値観が、アメリカに強く生きていることも示しています。報道の自由度ランキングで、低位に甘んじ続ける日本にとっても、考えさせられることの多い出来事です。
東京民報2025年10月5日号より








