斎藤幸平「コモン(公共財)が儲けの手段に」 ロッシェル・カップ「日本の法律に不十分さ」 外苑再開発めぐり対談〈2025年12月14日号〉

 神宮外苑(新宿区・港区)の再開発計画を巡って東京都の認可取り消しを求める裁判の原告団長を務める米国人コンサルタントのロッシェル・カップさんは、裁判報告会(12月5日)の中で、原告の一人でもある経済思想家の斎藤幸平さん(東京大学准教授)と対談しました。「コモン」(公共財)をキーワードに再開発問題や街づくり、市民運動の課題などに話が及びました。一部を紹介します。

 カップ 斎藤さんは神宮外苑の再開発を「コモン」を失うことだと述べています。そもそも「コモン」とは何か教えてください。なぜ今それが危機にさらされていると感じるのですか。

斎藤幸平 1987年東京都生まれ。マルクス研究者。50万部を超えるベストセラー『人新世の「資本論」』(集英社新書)は、「新書大賞2021」を受賞。東京大大学院総合文化研究科准教授

 斎藤 私も東京出身ですが、神宮外苑だけでなく、いたる所で再開発が進んでいます。渋谷、新宿、池袋、湾岸部、築地の跡地などで、トップダウンで市民の意向や地域住民への説明なしに進められていることが問題です。「コモン」とは市場に任せるべきでないもの、自然環境や社会的インフラなど市民が一緒に管理すべきものです。

 神宮外苑のような「コモン」が再開発の商品になろうとしています。再開発が日本で手っ取り早い金儲もうけの方法になっていますが、それにより東京の豊かさや自然環境が失われ、人々が「自分たちの街」と感じられなくなっています。

資金あるのに不十分な人員

 カップ 今回の再開発では、およそ3分の1以上の樹木が伐採され、高層ビルの建設やスポーツ施設の整備が行われます。環境面、社会面、そして民主主義の観点から見て、問題だと考えている点はどこですか。

ロッシェル・カップ 1964年米国生まれ。異文化コミュニケーション、人事管理、リーダーシップ、組織活性化を専門とする経営コンサルタント。日本の上場企業の社外取締役などを務める

 斎藤 最大の問題は、そこを利用してきた人々やコミュニティ、元々の理念をないがしろにして短期的な利益追求に走っていることです。リノベーション自体に反対しているわけではありませんが、議論が不十分です。

 ドイツのハンブルクでは緑を計画的に管理する専門の公務員がいて、公園や街路樹の管理をしています。対照的に東京の街路樹は強剪定され悪い状態です。東京都には資金があるのに、木を管理する人員を十分に配置していません。

未来の世代へ声上げる必要

カテゴリーから探す

記事を掲載時期から探す

最近の記事

  1.  首都圏に民族文化の花を咲かせようと、板橋区で1966年に産声を上げた「民族歌舞団 荒馬座」は9月…
  2.  オーストリアでアドルフ・ヒトラーの生家が建て替えられ、今年7月23日、警察署とし…
  3.  「段ボールベッドが5000配送されているのに、3000が使われていない」―9月3日の第9回中央委…
  4.  日本航空(本社・品川区=鳥取三津子社長)が国の補助金2億8521万円を不正受給していたことが6月…
  5. 最賃 全国平均1177円  今年度の最低賃金(時給)が全国47都道府県で3日出揃い、人口を加…

インスタグラム開設しました!

 

東京民報のインスタグラムを開設しました。
ぜひ、フォローをお願いします!

@tokyominpo

2025年12月
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
28293031  
ページ上部へ戻る
通知を有効にしますか? はい いいえ