【読書 今月の本棚と話題】子どもの幸せは不変の願い 『サンタクロースを探し求めて』 暉峻 淑子 著〈2025年12月21日号〉

 サンタクロースっているの?いないの? 今でも子どもたちのこんな会話があるのでしょうね。

 著者は1928年生まれ。有吉佐和子の小説『有田川』のモデルになったという生家で学者の父のもと知的で幸せに育った。頑固な父だったが身寄りのない少女を育て、捨て犬がいれば拾って、かわいい子犬から里子に出すような人。何かあれば父は自分の身を投げうってでも私を守ってくれる。そんな父の姿にサンタを重ねることは容易だった。そして二人の男子の母となり、共に絵本や児童文学に出会えた喜びをつづる。子どもたちとの「サンタって本当にいるの?」というやりとりが楽しい。やがて「ママ、俺ママにチュッしてもらうよりもゼニ貰もらったほうがいい」と自立してゆくのだが。

岩波現代文庫 2024年
1100円(税込)
てるおか・いつこ 1928年大阪府生まれ。埼玉大学名誉教授。著書に『豊かさとは何か』『豊かさの条件』『サンタクロースってほんとにいるの?』など

 『サンタクロースってほんとにいるの?』(1981年)という絵本作りに関わった経緯からは「私たち親子には胸が疼うずくほどに忘れられないサンタクロースの思い出の数々」がほほえましく美しい。そして、なぜこんなに世界中で国境を越え、歴史を越え大人も子どもも夢中になるのだろう、とサンタのモデルと言われる聖ニコラウスの聖地を訪ねるのでした。一人旅が好きとはいえ大変な冒険でした。

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