「効率」で失う教育の意義 AI活用のもたらす危険性 教科書を考えるシンポジウム 東大教授 酒井邦嘉さんが警鐘〈2026年4月12日号〉

 教育現場で進むデジタル教科書やAIの積極活用の危険性を考えようと、子どもと教科書全国ネット21などが呼びかけた「教科書を考えるシンポジウム」で4月4日、東大教授の酒井邦嘉(くによし)さんが講演しました。酒井さんは、言語脳科学の専門家で、AIの安易な利用によって脳機能を働かせない場面が増え、教育にも悪影響をもたらす危険があると警告を発しました。

「脳は便利さや効率という価値基準で動作していない」と話す酒井さん=4日、千代田区

 文部科学省は「初等中等教育段階における生成AI利活用ガイドライン」を2024年12月に改定し、教育現場でのAI活用を促しています。

 司会を務めた教科書ネットの吉田典裕さんは、「中教審の分科会でも、積極的な活用を促す議論が進んでいる。このまま進めていいのか、一度、しっかり考えておこうと、今回のシンポジウムを企画した」と趣旨を説明しました。

 酒井さんは、脳科学の観点から、「デジタル脳クライシス」(朝日新書)を2024年に出版するなど、AIやデジタル技術の安易な利用が人間の脳に重大な影響をもたらすとして、教育現場での利用についても警鐘を鳴らしています。

朝日新書、900円+税

 酒井さんは、現在のAIを「生成AI」と呼ぶことに対し、過去に生み出された文章や作品をデータベースにして「合成」する技術で、本来の「生成」には文法上や範疇(はんちゅう)上、間違ったものを退けることが必要なのにできず、「何でもあり」で大量に合成するだけだと指摘。「対話型AI」と呼ばれることに対しても、質問に答えているように見えても、相手の心や意図を想定せず、推理もしておらず、「質問に答えているように見せる『対話風』でしかない」と強調しました。

「構造化」を経ず

 教育現場でAIを使うことの問題点について、酒井さんは脳の言語処理の過程から説明しました。

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