【読書 今月の本棚と話題】「未完の革命」の行方は 『フィリピン―強権を求めた「新生」への希望』日下渉 著〈2026年6月21日号〉
- 2026/6/21
- 書評
日本在留のフィリピン人は約40万人。歴史的にも相互になじみの深い国だ。最近では日本政府が殺傷能力のある武器輸出の全面解禁に踏み切ったことを受けて、護衛艦の売り込み協議で合意するなど地域の平和と安定に逆行する動きも生じている。本書はフィリピンの人々の政治、社会意識の変化に焦点を当てながら、近年の動向を分析したものである。

1056円(本体+税)
くさか・わたる 1977年生まれ。九州大学大学院博士課程単位取得退学。現在、東京外国語大学教授。専攻はフィリピン地域研究
フィリピンは長期間、一握りの財閥と大地主のエリート階層が富と権力を独占してきた。1986年にマルコス大統領が「ピープルパワー革命」で追放され、民主化が実現した後も、政権中枢による汚職やクーデター未遂事件などで政治的な混乱が続いた。
変革の約束は実現せず、革命は未完のまま推移し、幻滅した人々は強い指導者による改革を求めるようになった。










