〈読書 今月の本棚と話題〉国家犯罪に対する告発の書 『司法が初めて認定した民間人戦争PTSD 戦争はいかに精神を破壊するか』 瑞慶山茂 蟻塚亮二 編著〈2026年8月23日号〉
- 2026/8/22
- 書評
PTSD(心的外傷後ストレス障害)というと、ベトナム戦争を舞台に兵士の狂気や苦悩を描いた米映画「ディア・ハンター」と「地獄の黙示録」が思い出される。
戦争によって精神を破壊されるのは兵士だけではない。本書は太平洋戦争時の民間人被害者、とりわけPTSD被害者の裁判闘争の記録である。現在でもパレスチナ、ウクライナ、イランで戦火が絶えない。戦争が人々の身体だけでなく精神をも損なう残虐な行為であることを考えれば、単なる裁判記録ではなく、戦争という国家犯罪に対する痛烈な告発の書である。

4950円(本体+税)
ずけやま・しげる 弁護士、元沖縄戦被害・国家賠償訴訟弁護団長
ありつか・りょうじ 精神科医、共著に『戦争トラウマを生きる』など
沖縄と南洋・フィリピンでの戦争被害者は2010年代に、国を相手取り謝罪と損害賠償を求めて提訴。裁判所は最終的に損害賠償請求を棄却したものの、旧日本軍の加害行為と「戦争PTSD」を初めて認定した。
編著者は訴訟に関わった弁護士と精神科医の名コンビ。戦争に起因するPTSDを立証するため、原告の詳細な鑑定書を提出し、身体的、精神的被害を余すところなく実証した。










