本文へスキップ

東京民報は東京が見える、東京を変える新聞です。

シリーズ 外環道を問うB

「外環の2」の廃止を 武蔵野在住の弁護士が提訴

 国が計画している外郭環状道路(外環道)の地下本線(練馬区大泉─世田谷区宇奈根間16`)の上部地表に都が計画している一般街路「外環の2」(練馬区─三鷹市間9`)は、外環本線が地下方式になったのに伴い廃止すべきだと武蔵野市在住の上田誠吉弁護士(82)が16日、都を相手取り東京地裁に提訴しました。
 原告の上田さんは、武蔵野市の計画地の一角に戦前から66年間居住し、「終(つい)の住み家」として平穏な生活を送ることを望んでいました。ところが、東京都は、昨年4月の都市計画変更決定で外環本線を地表から40b以深の大深度地下に建設する計画にしたにもかかわらず、地上部道路の計画を進めようとしているとして、廃止の手続きを取るよう求めたもの。「外環の2」の計画地域では立ち退きが3000棟に及ぶなどの影響があるだけに裁判の行方が注目されます。
 1966年の都市計画決定では、高架方式の外環本線の両脇に一般道(外環の2)を通す計画でした(図)。「外環の2」は、本線が存在することを前提に一体のものとして計画決定されたものです。
 上田さんは、外環本線が地上に存在しなくなった以上、「外環の2」は存在の前提を欠き、効力を失っているので、「外環の2」に関する都市計画決定の廃止手続きを取るべきだ、と主張しています。
 また、訴状によれば、東京都は、「外環の2」計画について3つの案(@道路及び緑地にA道路にB廃止する)を提示していますが、具体性を欠いており、計画内容を具体的に定めるべきとしている都市計画法(11条2項)の要件に欠けている、としています。
 訴状はまた、「外環の2」の計画地域になっていることで建物の高さなどに制限があり、合理的な根拠がなく財産権や居住の自由や平穏に生活する自由を制限することは憲法29条などに反する、と指摘しています。
 訴状は、石原都知事の記者会見(06年4月)や国や都のパンフレットで、地上生活者に迷惑をかけないことや地表に影響を及ぼさないように地下方式にしたと、説明していることにも言及し、「当時の検討が「外環の2」がなくなることを前提としていたことを指摘しています。

(「東京民報」2008年10月26日号掲載)
                                   <外環道を問うに戻る>