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シリーズ 外環道を問うD

三鷹市 市民運動に共感広がる

立ち退き、大気・水源汚染、農地破壊 生活に多大な影響

 国と都が計画している外環道とその上部道路の建設計画で、大気汚染、騒音、地下水脈の破壊など、最も深刻な影響が予想されるのは三鷹市です。いま、「三鷹市の未来は私たち市民が決めましょう」と呼びかけ、道路計画の実態を知らせる市民団体の地道な活動が市民の共感を広げています。

市長も「影響極めて大きい」

 三鷹市では、外環道と中央高速を接続する北野ジャンクションと、東八道路への乗降口になるインターチェンジが建設される計画です。さらに外環本線上部に計画されている都道(外環の2)が練馬から東八道路まで計画されています。この結果、広範囲の立ち退き、緑や農地が破壊されます。ジャンクションには、外環トンネル部分15キロの総排気ガスの半分以上をまき散らす2基の換気塔が設置される計画で大気汚染が大問題です。とくに小・中学生のぜんそく発症率が増大しているときだけに、さらに悪化すると心配されています。
 また、計画地域は市内有数の深井戸集中地。飲み水の60%を地下水に頼っており、水源の汚濁、枯渇の危険が指摘されています。
 三鷹市長は昨年1月、「外環が三鷹に与える影響は極めて大きい」と42項目の意見書を国・都に提出し、「事業着手を容認するものではない」と表明しました。

賛同署名の広がりが大きな力に

  市民の側では昨年1月、外環道の賛否を住民の意思で決めようと、住民投票推進連絡会がつくられ、住民投票実施を請求するのに必要な数の4倍近く、1万1221人を集めました。しかし議会では自民系会派、公明、民主などが多数で否決しました。
 しかし、否決されたからといって、市民の心配が消えるわけもなく、昨年10月、「三鷹市の未来は私たち市民が決めよう」と「市民による外環道路問題連絡会・三鷹」(豊田詠史・松井朝子代表委員)が結成されました。「市民外環問題ニュース」などで市民に呼びかけ、「外環問題早わかり」と題した集会を開いてきました。集会はこれまで市内全域を巡る8カ所で開催しています。
 豊田代表委員は、「集会の延べ参加人数は400人を超えました。初めて参加する人は、外環道の建設計画にみんな驚いて、今度は呼びかける側に回ってくれるようになる」といいます。
 「外環道問題を明らかにし、市民の意思を尊重し、集約し、反映する」などの会の目的に賛同署名した人は、940人。間もなく千人を超える勢いです。人口18万の市民に対しニュースの配布は総数で20万枚を超えました。
 賛同者が増えるにつれ行政や議会の対応も変わってきました。市議会のすべての会派に懇談を申し入れ、民主、公明、共産、無所属の「にじいろのつばさ」と懇談。来月13日には、副市長と話し合う集会を予定し、市長の意見書をもとに、市民の意見を伝えます。

「いったいだれが賛成なのか不思議」

 連絡会には「できてしまってからでは遅い。市民の願いが反映される三鷹市であることを願っています」(市内 井口)「私が話した方々は、みな外環反対。いったい誰が賛成なのか聞いたこともなく不思議です」(市内井の 頭)など、慎重な対応を求める意見や計画の中止を求める多くの声が寄せられています。
 国や都がオリンピック招致をテコに、計画を強行すべきでないことは明らかです。

(「東京民報」2009年1月11日号掲載)
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