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「君が代」訴訟 要請署名

年明けの判決にらみ急ピッチ 最高裁は司法の良心示せ

逆転勝訴となった東京「日の丸・君が代」一次訴訟の高裁判決の報告集会=3月10日、千代田区

 「日の丸・君が代」裁判の原告や支援者らは、最高裁が新たに2つの裁判で弁論期日を指定したことから、最高裁に対し、「司法の良心を示せ」「慎重な審理と公正な判断を」などを要請する署名を、23日に第一次集約をするなど急ピッチで広げています。
 最高裁は一連の「日の丸・君が代」裁判のうち、「河原井・根津06年停職処分取消訴訟」と「東京『日の丸・君が代』一次訴訟」の2つについて、弁論期日をそれぞれ11月28日、12月12日に指定。年明けには判決が出される見通しです。
 前者は3月に高裁で敗訴、後者は同じ3月に地裁判決を覆して高裁で一部逆転勝訴となったものです。
 このうち「東京『君が代』裁判一次訴訟」は、3月の高裁判決で、『日の丸・君が代』を強制する東京都教育委員会の10・23通達に基づく減給・戒告処分を都教委の『裁量権の逸脱・濫用』だと認定して、167人全員の処分取消を命じました。最高裁が都側の上告を受理して弁論を開くということは、この判決を何らかの形で見直す可能性があるということです。
 最高裁は5月から7月にかけて、相次いで11件の「日の丸・君が代」裁判で、原告の上告を棄却する判決を出しましたが、裁判官14人中2人が反対し、7人が補足意見をつけています。大量の補足意見がついたことは異例で、「理不尽で強圧的な行政の後始末を押しつけられた司法の悲鳴」(憲法学者 奥平康弘氏)など、注目されました。
 原告らは「日の丸・君が代」の強制をやめさせ、学校に自由と人権を取り戻すために公正な判決をと、最高裁への要請署名に取り組んでいます(第2次集約12月20日)。また、最高裁要請行動も今月26日に予定しています。
 「東京『君が代』裁判」原告団事務局長の近藤徹さんは、両方の事件の整合性を考えた統一的判断を最高裁がするのではないかとの見通しを語るとともに、「最高裁要請署名への協力など、ご支援を心からお願いしたい」と呼び掛けています。
 署名用紙ダウンロードは「被処分者の会」ホームページで。ネット署名もできます。

三多摩憲法のつどい 世取山氏が報告


 憲法に関して毎年市民が集う「三多摩憲法のつどい」(主催・同実行委員会)は、7日に開催したつどいで「いま、学校で『日の丸』・『君が代』はどうなっているのか?」をテーマに取り上げました。
 報告にたった新潟大学准教授の世取山洋介氏は、「日の丸・君が代」の強制が、新自由主義教育改革の校長管理、教師管理のための手段として利用されたことを解明。5月以降相次いだ最高裁の「日の丸・君が代」裁判の判決について、これまで「国際的に認められた儀礼的行為だ」としてきたことを覆し、「国旗国歌に敬意を示す行為である」ことを認め、思想良心の自由の間接的制約になるとの判断を示したことなどを指摘。最高裁の動揺を感じたと語り、裁判運動への市民の参加を呼びかけました。

(東京民報2011年10月23日号に掲載)