「防災に役にたたない道路計画は白紙に」と訴える日本共産党の白石たみお都議予定候補と、「土地収用制度を活用」して住民を追い出しても早期に道路建設を、と主張する自民現職都議。定数4に8人が名乗りをあげている品川区は、自共対決を軸に、街壊しの道路計画を推進するオール与党対白石氏という様相が鮮明になりつつあります。
問題の計画は、戦後、一面が焼け野原だった1946年に策定された補助29号線(山手通り〜環状7号線の3・53・)と放射2号線(西五反田〜荏原2丁目の1・2・)など。都の「木密(木造住宅密集)地域不燃化10年プロジェクト」に基づく道路整備です。
白石氏は、これらの道路が「延焼遮断帯」になるという都の主張に「一昨年の3・11の大地震のとき周辺を回ったら、山手通りは車でいっぱいになり身動きがとれない状況だった。ここで車両火災が起きれば周辺は大変な事態になる」と反論。「住民参加で命と財産を守る防災対策こそ必要で、まず住宅耐震化と初期消火体制の充実こそやるべきです」と訴えます。
各地の住民説明会でも計画見直しの声が続出しています。
4月24日の放射2号線の住民説明会では敷地内を道路が通る星薬科大学の代表が、「事前に説明をうかがったが」納得できないとして計画見直しを要求。「中原街道から大学の門に入る並木道は延焼遮断帯として有効。校舎も燃え広がらない建物だ」と計画に反対しました。
自民現職都議は都議会で早期の道路整備を主張。その際、補助29号線を地元が求めた例としてあげた戸越公園駅周辺まちづくり協議会のトップからも異論が出ています。
同協議会が主催した5月19日のシンポジウムで高村幸弘会長が「全国の道路ができた商店街を訪ねて回ったが、大きな道路が通ったところは商店街が残っていなかった。自分たちは岐路に立っている」と発言、衝撃を呼びました。補助29号線の影響を受ける商店街は10に上ります。
同会長は、本紙の取材に「道路に反対といっているわけではない」と断りながらも「該当する地域がどうするか、解決策を考えていかなければならない。今、結論を急ぐべきでない」と語りました。
「住民の暮らしと安全・環境を守る会」世話人の池戸アキコさん(65)は「補助29号線白紙撤回を求める都議会への請願の審議(5月29日)を傍聴しました。共産党の可知(佳代子)さんだけが採択を主張し、自民、民主、公明は一言も言わずに不採択です。オール与党の都議会の姿が分かりました。保守系の方からも、どこを選ぶかといったら、オール与党でなく今度は白石さんだといわれました」といいます。
(東京民報2013年6月9日号に掲載)Tweet