横田基地 戦闘拠点化の危険も 福生市で市民交流集会〈10月25日号より〉
- 2020/10/19
- 横田基地
基地の機能強化が進み、周辺住民の生活を脅かしている米軍横田基地の現状を伝えようと、「横田基地もいらない!沖縄とともに声をあげよう市民交流集会」が10日、福生市で開かれました。軍事情報アナリストの小柴康男さんが講演し、米軍の世界戦略の背景と、そのなかで変化する横田基地の役割について語りました。
横田基地の飛行ルート下に住む小柴さんは、同基地に配備された特殊作戦機オスプレイをめぐって、必要な情報を住民に公開しない米軍と日本政府の姿勢への怒りから、米軍の資料などを収集。米軍特殊部隊の実態や、横田基地の役割を明らかにするパンフレットを発行してきました。
今回は、この日に合わせて発行した最新のパンフレット「アメリカの戦争と横田基地」の内容をもとに、講演しました。
パンフレットは、アメリカが01年から続けるアフガニスタン戦争の軍事作戦や、戦略の失敗についてまとめた米政府の内部文書「アフガニスタン・ペーパーズ」に注目。海外のジャーナリストとも交流して分析し、米軍の軍事戦略の実態と、そのなかで変化する横田基地の役割を明らかにしたものです。
小柴さんは講演で、アメリカの世界戦略の根本に、軍需産業と軍が一体となった「軍産複合体」があると指摘しました。軍産複合体の中核として、歴代の国防長官が、軍隊の幹部を務めた後に、軍需産業の副社長などを経験してから長官になり、長官退任後はまた軍需産業の役員になるという「回転ドア」と呼ばれる人的な結びつきがあると紹介。アメリカの議会にも、軍人出身の議員が多く、軍需産業から多くの献金を受けています。
パンフレットでは軍産複合体に関わる、軍需産業の役員らが果たす役割を分析。このうち、現在のポンペオ国務長官については、「好戦的」「特に危険」として、経歴や新自由主義的な思想を詳しく紹介しています。ポンペオ氏は6日に、4カ国外相会談に参加するため、横田基地に降り立ったばかりです。
軍需産業の利益で
こうした軍産複合体の利益に奉仕する形で、アメリカの軍事予算は、世界でも突出しています。小柴さんは「戦争を始め、長く続ける。開戦の理由がなくても、脅威をつくる」ことが軍需産業の利益になると強調。2018年に中国を、アメリカにとっての主要な脅威としたことで、日本は中距離ミサイルの発射拠点として「使い捨ての軍事要塞」のように位置付けられていると、米軍の戦略の変化について語りました。
また、横田基地の役割も、アメリカのシンクタンクが、戦闘機の配備先の候補に挙げるなど、対中国戦略のなかで、輸送拠点から戦闘拠点へと大きく変化していると指摘。「私たちが声をあげていかないと、横田基地はさらに危険な基地になっていく」と呼びかけました。
実行委員会の寉田一忠さんが、横田基地の現状や、米軍の泡消火剤に含まれる有機フッ素化合物による汚染の危険性を報告しました。集会は、人口密集地上空での危険な軍事訓練を直ちにやめることや、夜間の離着陸訓練中止などを求める決議を採択しました。
(東京民報2020年10月25日号より)