大深度地下 「安全神話」は崩れた リニア沿線 工事始めないでと要望〈2020年11月22日号より〉

 東京外かく環状道路(東京外環道)の工事ルート上で起きた陥没事故(10月18日)を受け、同じ工法で地下を掘り進むリニア新幹線計画への不安が広がっています。大田区、品川区、世田谷区、町田市など都内の沿線住民と地方議員らは12日、国交省からの聞き取りを行い、陥没事故の調査結果がわかるまで工事に着手しないことなどを要望しました。

 リニア新幹線は、東京と名古屋を結ぶ計画で、各地で非常口や変電所などの工事が始まっています。首都圏と中部圏では東京外環道と同じく、大深度地下と呼ばれる地下40㍍より深い地下を、シールドマシン(掘削機)で掘り進める計画です。東京側から掘り進むシールドマシンは、すでに地下に運び込まれています。

リニア工事に着手しないよう求める山添氏(前列左から2人目)、香西氏(同3人目)ら=12日、千代田区

 聞き取りに同席した山添拓参院議員(日本共産党)は、「外環道の陥没事故を受け、リニア沿線の住民から強い心配の声が出ている。沿線が長く、多くの地域に影響する問題で、住民の理解がないまま工事を始めることは許されない」と強調しました。

 住民から強い要望が出されたのが、住宅に異変が起きた時に、工事の影響か判定するための事前調査の実施です。

 これまでリニア計画を進めるJR東海は、大深度地下での工事は地上に影響しないという前提で、事前調査の必要性を認めていませんでした。住民から「東京外環道の陥没事故で、地上は安全という前提が崩れた。外環道では行っている、事前調査は必須だ」「公的資金を投入する事業である以上、JR東海まかせにせず、国として、事前調査をするよう求めるべきだ」などの声が相次ぎました。

 また、JR東海の説明資料などにある「大深度だから地上に影響しない」という趣旨の記述は、「すでに事実と異なる。資料から削除するよう、JR東海に求めてほしい」との声も出されました。

 国交省の担当者は、「外環道の陥没事故については、原因を調査中と聞いている。地上の安全への配慮は当然で、JR東海も外環道の調査を注視している」と話しました。

 参加者から、「外環道の地上部では、塀にヒビが入るなど異変が相次いだ。大深度の『安全神話』は崩壊した」「不安でたまらない。命と生活がかかった問題として、きちんと対応してほしい」などの声が相次ぎました。

 香西かつ介・衆院東京3区候補が同席しました。

(東京民報2020年11月22日号より)

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