町田市・野津田公園 バラたちの広場を守って 市民 移転強行に「人間の鎖」〈12月13日号より〉

 町田市の市立野津田公園内で、約360種、840株のバラが咲く「ばら広場」が市の移転計画で1月に閉鎖されようとしています。開設から19年にわたりバラの手入れに協力してきたボランティアや市民から「今のままの広場を残して」と声が上がっているのに、市は強行する姿勢です。11月28日には、ばら広場を守ろうと「人間の鎖」が取り組まれました。

「来年で20年、ボランティアの皆さんのおかげで、人間ならやっと成人というときに、突然、他に移されてしまう。バラはどんな気持ちでしょう」―「人間の鎖」を発案した、女性が呼びかけると、感染症対策でリボンの両端を持ってつながった参加者が、ばら広場に臨む道路で静かに両手を上げました。

約360種、840株が咲く広場。手前右下は、国連創立総会で配られた「ピース」=町田市

 市は、ばら広場を公園中心部付近に移し、現在の広場をテニスコートにする計画です。移設先では工事が進んでおり、現在は8700平方㍍ある広場の敷地は、市によると造成中の面積で5300平方㍍に縮小します。市は、「今の広場でバラの植栽に使っている面積は1150平方㍍で、新しい広場ではそれ以上を確保する」と説明します。

 これに対し、バラの手入れにボランティアで協力してきた愛好者団体「町田ばら会」メンバーは「鑑賞に来る人は、高齢者も多く、ゆったりと見て回るスペースが必要です。また、バラは毎年、新品種が100種以上生まれる。そうしたバラを取り入れ、発展させる場所を確保しておく必要もある」と縮小の問題点を指摘します。

市と愛好者が協力して19年

 同氏によると、町田ばら会と野津田公園のかかわりは、園内に寄贈されたバラが、品種もわからないまま放置されていて、2000年に当時の会長が鑑定を依頼されたのが、きっかけでした。

 その後、会としてバラを育てる圃場を持ちたいと市に相談したところ、もとは芝生の養生地で、放置されて雑草が生い茂っていた、現在の広場を紹介されました。

 150株ほどでスタートしたバラは、会員個人の寄贈や、展示会で使用して弱ったバラを引き取るなど工夫を重ねて増やしてきました。

 広い敷地に、さまざまな種類のバラが、自然を生かして配置されています。5月と11月の開花時期には、コロナ禍のもとでも密集せずに観賞できると、多くの人が訪れました。アンネの日記の作者アンネ・フランクにささげられた「アンネの形見」、国連創立総会に参加した各国の代表に配られた「ピース」など、平和の願いを込めた品種も植えられています。

アンネ・フランクにささげられた「アンネの形見」

 このメンバーは「ばら広場を作るときは、市の職員も参加して、雑草を切り開いてくれました。19年間かけて、ボランティアと市が協力して立派なバラ園に育ってきたのに、今の市には、私たちと誠実に話し合い、良い広場をつくる姿勢が見えない」と残念がります。

この場所で咲き続けられるよう

 市の計画には多くの疑問の声が広がっています。

 関係者によると、テニスコートは、テニス協会関係者などが園内にすでにある3面に加えて、新たに5面以上を要望していました。市は、2014年につくった「第二次野津田公園整備基本計画」に、ばら広場を移転し、その跡地と、周辺の農家の土地を合わせて、12面のテニスコートをつくる計画を盛り込みました。

 当初の移転計画は、ばら広場が大幅に縮小するもので、町田ばら会が反対。市は移転先の候補を10数回にわたって出し直したものの、ばら会関係者らが納得できる案が出ないまま、移転を強行しようとしています。

 人間の鎖に参加した男性は、「テニスコート予定地の農家は、いずれも農業継続の意思が強く、後継者のいる貴重な農家です。その土地を市が手に入れる見遠しは立っていないので、今のところ、ばら広場の跡に4面のコートをつくるだけで、第二次基本計画に従って今ある3面を閉鎖すれば、コートは実質1増にしかならない」と指摘します。

 野津田公園は、もともと市がスポーツ施設中心の公園を計画したのに対し、市民が雑木林など自然を生かした公園とするよう署名を集めるなどして、自然を守ってきた経緯があります。

ばらの広場を守って、と訴えた「人間の鎖」=11月28日

 2019年9月の市議会には、ばら会関係者や市民が、現在の広場を残すよう求める請願を提出。日本共産党市議団は「計画ありきではなく、丁寧な話し合いと合意形成を」と採択を求めましたが、不採択となりました。

 開会中の市議会にも、現在の計画ではバラが芽吹き始め、活動を開始して移植すると枯死の危険が高まる2月以降の移植になるとして、移植を1年延期し、再検討することを求める請願を市民が提出しています。

 請願者の一人でもある女性は、「もの言わぬバラたちが、これからも今の場所で平和に咲き続けられるよう、がんばりたい」と話します。

(東京民報2020年12月13日号より)

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