外環道 トンネル地上部で続く異変 ルートから外れた地域でも〈12月20日号より〉

 関越道と東名高速を住宅密集地の大深度地下トンネルで結ぶ東京外かく環状道路(東京外環)工事で、ルート直上での陥没や地下空洞などに続き、ルートから外れた住民からも異変を感じているとの声が出ています。

 現場はルート直上から外れた調布市若葉町地内。11月の市道陥没事故時、NEXCO(高速道路会社)東日本による説明会では区域外として“お知らせ”は配られませんでした。

 ある住民は「外壁塗装工事をしようと思い業者に見てもらったところ、『クラック(亀裂)が入っています。階段もずれています』と指摘されました」と語ります。若葉町地内は外環道工事の事前調査も行われていない地域であり、今後の補償も受けられない可能性があります。

 この住民は「第1回目の陥没の前に揺れを感じた」とも話しており、異常は広範囲にわたっている可能性も否定できない状況です。

 また相次ぎ地下空洞が見つかった同市つつじが丘2丁目では9日、地下ガス管でガス漏れが起きています。住民によると「7日、5~6人のJV(トンネル施工合同体)の職員が現場で相談している様子でした。普段は2~3人だから多いなと不安に思いました。そうしたらガス漏れの報告が9日にありました」と語っています。

 東京ガスが緊急に復旧工事をし、外環工事関係者は「外環直上だが関係ない」と説明したと言います。住民は「10月に工事したばかりの箇所なので、本当に関係ないのか」と不安を訴えます。

 トンネル検討委員会有識者会議の小泉淳委員長は過去の会見で「すぐに(穴や空洞を)埋めてしまうと原因が究明できなくなる」と話しており、今回も原因が究明できない可能性があります。「これでは、安心してお正月を迎えられない」との住民の声に国をはじめとした施工者は、原因を究明し、工事中止を含めたあらゆる策を講じて不安を早急に取り除くことが求められています。

世田谷区ではガラス割れも

 既に工事を終えた世田谷区喜多見地域でも、同様の不安の広がりと被害を訴える声が少なくありません。山添拓参院議員は13日、里吉ゆみ都議、江口じゅん子区議と現地を調査しました。

住宅のガラスの亀裂とずれを調査する(左から)里吉都議、山添議員、江口区議=13日、世田谷区

 野川沿いの住宅ではシールドマシン(トンネル掘削機)が通過した8月9、10日に「地震とは違う揺れを感じ、地震速報を確認したけれど情報はなかった」といいます。またトロッコが走行するような騒音も夜中に感知したと話します。その頃、2階の天窓と1階野川側の掃き出しの窓ガラス(ともに防災効果に優れた網入りガラス)に大きな亀裂を確認しました。

 NEXCOに電話し、2度ほど現地を確認に来ましたが「家屋調査をしてみないとわからない」というだけでした。「最終的な補償は開通後」という話もあり、住民は「天窓は雨漏りの危険もあり、切実です」と訴えています。

 別の住民は「地下室があるので、酸欠空気が溜まったら怖い。酸素濃度測定器の購入は自費だし、警報アラームもならない」と不安を隠しませんでした。

 山添議員らは「このまま、原因究明もされずに工事の再開はあり得ない」と語りました。

(東京民報2020年12月20日号より)

関連記事

最近の記事

  1.  バイオリニストの松野迅さんが、4月27日(土)にけやきホール(渋谷区上原、午後2時開演)でコンサ…
  2. つどいに参加した各党の国会議員、都議ら=7日、国分寺市  多摩地域を中心に都内各地に広がる有…
  3. 街頭宣伝に立つ太田区議  昨年の区議選でセバタ勇前区議から議席を引き継ぎ、およそ1年が経ちま…
  4. 街頭で訴える和氣区議  「戦争のない世界 分断より支え合う社会へ」と掲げ、「あらゆる人の参加…
  5.  噴霧乾燥機メーカー大川原化工機(横浜市)をめぐるえん罪事件で、国と都に1億6200万円の損害賠償…

インスタグラム開設しました!

 

東京民報のインスタグラムを開設しました。
ぜひ、フォローをお願いします!

@tokyominpo

Instagram

#東京民報 12月10日号4面は「東京で楽しむ星の話」。今年の #ふたご座流星群 は、8年に一度の好条件といいます。
#横田基地 に所属する特殊作戦機CV22オスプレイが11月29日午後、鹿児島県の屋久島沖で墜落しました。#オスプレイ が死亡を伴う事故を起こしたのは、日本国内では初めて。住民団体からは「私たちの頭上を飛ぶなど、とんでもない」との声が上がっています。
老舗パチンコメーカーの株式会社西陣が、従業員が救済を申し立てた東京都労働委員会(#都労委)の審問期日の12月20日に依願退職に応じない者を解雇するとの通知を送付しました。労働組合は「寒空の中、放り出すのか」として不当解雇撤回の救済を申し立てました。
「汚染が #横田基地 から流出したことは明らかだ」―都議会公営企業会計決算委で、#斉藤まりこ 都議(#日本共産党)は、都の研究所の過去の調査などをもとに、横田基地が #PFAS の主要な汚染源だと明らかにし、都に立ち入り調査を求めました。【12月3日号掲載】
東京都教育委員会が #立川高校 の夜間定時制の生徒募集を2025年度に停止する方針を打ち出したことを受けて、「#立川高校定時制の廃校に反対する会」「立川高等学校芙蓉会」(定時制同窓会)などは11月24日、JR立川駅前(立川市)で、方針撤回を求める宣伝を21人が参加して行いました。
「(知事選を前に)税金を原資に、町会・自治会を使って知事の宣伝をしているのは明らかだ」―13日の決算特別委員会で、#日本共産党 の #原田あきら 都議は、#小池百合子 知事の顔写真と名前、メッセージを掲載した都の防災啓発チラシについて追及しました。
ページ上部へ戻る