国民の広範な反対の声を押し切り、安倍晋三政権が強行した、安保法制=戦争法の施行から3月29日で5年が経ちました▼防衛省の発表によると、安保法制に基づく自衛隊による米軍への防護は、2020年には25回に及びました。初めて実施した17年が2回、18年16回、19年14回で、20年の数は過去最多。日米の軍事的な統合の、急速な進展をうかがわせます▼米軍を防護している最中に、偶発的な軍事衝突が起きれば、自衛隊は武器を使用して米軍を守ることになり、意図しない戦闘に参加することになります。安全保障が専門の元内閣官房副長官補の柳沢協二氏は、安保法制施行5年を特集した東京新聞3月28日付で、この間、自衛隊が戦闘に巻き込まれなかったのは「自衛隊の武器使用権限が抑止力になったからではなく、自衛隊の慎重な姿勢が無用な衝突を避けてきたから」と指摘。「軍事的対峙は誤算による衝突を招きやすい」と危険性を強調します▼米軍防護の実態は、大まかな内訳が示されるだけで、実施の時期や場所など詳細はベールに包まれています。「敵基地攻撃能力」の確保をはじめ、軍事費を9年連続で増加させ、際限ない軍拡を続ける安倍、菅政権。憲法違反の安保法制の廃止は、ますます重要な政治課題です。
東京民報2021年4月4日より








