75歳以上の医療費窓口負担2割導入の撤回を求めて18日、緊急集会が参院議員会館で行われました。医療団体連絡会議(医団連)、中央社会保障推進協議会(社保協)、全日本年金者組合、日本高齢期運動連絡会の4団体が協力して開催。集会に出席した日本共産党、立憲民主党、国民民主党の国会議員に、医療費2倍化に反対する累計84万5340人分の請願署名を提出しました。
84万人分の請願署名
新型コロナウイルスの収束がいまだ見えぬ状況にありながら、政府は75歳以上の医療費2割負担を含む「健康保険法等の一部を改正する法律案」を国会に提出。年収が単身世帯で200万円以上、夫婦世帯で320万円以上の約370万人を対象に、窓口で支払う医療費の自己負担額を現状の1割から2割に引き上げ、22年度後半から実施する予定です。
全国保険医団体連合会(保団連)の住江憲勇会長は開会あいさつで、医療従事者の立場から同法案を批判。今はコロナ禍で露呈したぜい弱な社会保障の是正こそ求められるとし、治療費が倍になることで受診にブレーキがかかり、早期発見・早期治療が困難になると危惧。「高齢者の生活実態を見ても、負担増に耐えられる状況ではない。断固反対する」と訴えました。
約3割が受診控えを検討
日本高齢期運動連絡会の武市和彦事務局長は、75歳以上を対象に行った医療費2倍化に関するアンケート結果を発表。今年1月から現在まで2千人ほどの回答があり、2割負担になった場合「受診科を減らす(9%)」「通院回数を減らす(18%)」「薬の飲み方を調整する(3%)」など、約3割が受診控えを検討しています。「これが一番深刻。命に直結する事態につながる。絶対に撤回すべし」と憤りました。
オンラインで参加した全日本民主医療機関連合会の山本一視副会長は、75歳以上の患者、386人から寄せられたアンケートの回答を紹介。「すでに6割以上が光熱費を切り詰めている。医療を控えると死んでしまうので、食費を削るしかないという声も多い。患者の懐具合を気にして検査や薬を考えなければならないのか」と政府に疑問を呈しました。
そのほか「高齢者から落胆の声が出ている」「介護保険料は上がり、年金は下がる。そこに2割負担というのは、いじめでしかない」など、悲痛な訴えがあがりました。
小池晃氏「財政軽減が目的」
日本高齢期運動連絡会の菅谷正見代表委員は閉会あいさつで、2割負担は高齢者の人権侵害と強調。「最後まで法案を阻止するためにがんばる」と決意表明しました。
日本共産党から小池晃、倉林明子両参院議員、宮本徹、清水ただし両衆院議員があいさつ。小池氏は2割化で軽減される現役世代の負担額は月に30円程度だが、国や地方自治体の財政は980億円軽減されると述べ、「何のための2倍化か、ここに現れている」と指摘。宮本氏は2割負担になる年収額が法案に明記されていないことに言及し、「時の政権の判断で2割負担の範囲が広げられる」と法案の危険性に迫りました。
【東京民報2021年3月28日号より】