羽田ルート「海から海へ」に戻せ 超党派議連と市民が国と交渉〈2021年4月18日号〉

 超党派の国会議員による「羽田低空飛行見直しのための議員連盟」(海江田万里会長)は9日、国会内で会議を開き、住民側と協力して国土交通省に説明を求めました。会議には、110人が参加しました。

署名やはがきなどを手渡す市民団体の代表(右)ら=2021年4月9日、千代田区

 会議は2部構成で1部は、議員と住民が参加。海江田会長(立憲民主党)が、この会議を従来ルートの「海から海へ戻す第一歩にしよう」と呼びかけ、住民側から大村究氏(「羽田問題解決プロジェクト代表」)が、経過と問題点を報告しました。

 会議では日本共産党から小池晃、山添拓、畑野君枝の各参院議員、笠井亮衆院議員、立憲民主党から松原仁、長妻昭、手塚仁雄各衆院議員、社民党の福島瑞穂参院議員があいさつ。住民側からも豊島、渋谷、江東各区の代表らが地域の特徴的な活動を紹介しました。

横風で操縦に困難

 第2部に移り、国側の担当者が入室したところで、署名を国側に手渡しました(別項)。この後、国側との意見交換会に移り、航空評論家の杉江弘元日航機長が専門家の立場からいくつかの重大な問題点をただしました。

 国の羽田新ルートの「固定化回避のための検討会」もその一つ。これまで3回の検討会で、着陸ルートの進入方式を検討していることに触れ、杉江氏自身もスカイツリーや東京タワーの南側を通るコースを検討してみたが、「危険で物理的に不可能。北側の進入方式なら可能であっても、今と対象地域が違うだけで、東京都心を通ることに変わりはない。検討会をこれ以上続けても意味がない。やめた方がいい」と指摘しました。担当課長は「検討会の今後の動きをぜひ見てください」と答えただけ。

 杉江氏はまた、新資料の「航空安全情報報告制度(VOICES)の提言」(航空輸送技術センター)を提示し、羽田新着陸ルートの危険性を強調しました。

 同提言によると、新着陸ルートの「運用が風の状況によっては(空港への)最終進入で操縦の困難度が高かったとの自発報告が多数寄せられている」として15件もの例を提示しています。問題は「南西風で、横風の制限値を下回っていても…大きな揺れがあった」として「安全運航に資する共通認識を持つため」パイロットや管制官などの「継続的な意見交換の実施」を求めています。

 議員側からは「横風の危険性が提起された。真剣に受けとめるべきだ」「根本からルートを検討し直すべきだ」などの発言がありました。

 杉江氏は、国側からお互いに共通のデータに基づいた議論も、反論もないことを指摘しました。

 住民側からの事前質問約20項目について、会議時間の関係で、国側は十分な回答が出来ず、再質問の時間もないので後日、文書で回答することになりました。

280人分の切実な声も

 「みなと空の会」は、会作成はがきに寄せられた住民の意見280人分の冊子と署名1830人分を国側に提出しました。同会の増間碌郎共同代表は、「署名とはがきに寄せられた住民の切実な声の一つ一つを真剣に読みこみ、政策に反映してもらいたい」と、785通のはがきの束も添え手渡しました。署名は、羽田新ルートの中止を求めたもので、今回と合わせ総計8873人分を提出しました。低空飛行に反対する「江戸川区民の会」の太田美音代表が署名を手渡しました。

東京民報2021年4月18日号より

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