JAL被解雇者労働組合(JHU)は12日、東京都労働委員会(都労委)に対し、不当労働行為救済命令を申し立てた後、厚生労働省内で記者会見を開きました。
JALは2010年の不当解雇問題の解決をめぐり、不当解雇争議団(山口宏弥団長)との交渉を拒み、労働組合を中心に交渉を進めてきました。その中でJALの当事者意識の欠如から争議が長期化。定年の60歳を迎えて機長組合員資格を喪失することで、交渉を進める機会を失ってしまった機長らの救済の道を事実上閉ざしてきました。
今回、当事者らがJHUを結成し、JALに団体交渉(団交)を申し込んだところ無視し続け、3回目の申し入れに対しJALは「解雇を有効とした最高裁の判決をもって決着済み」とした上で▽会社に雇用される労働者の代表に該当するか疑義がある▽日本航空労働組合との同一事項での団交は二重の団交▽対象が特定できない―などと団交を拒否。JHUが都労委に申し立てました。
会見で指宿昭一弁護士は「労働組合に対し団交拒否は許しがたい行為。団交は拒否できないものだ」と指摘。「最高裁の判決をもってJALは解決済みと主張するが、不当労働行為については未解決だ。二重の団交になるとの言い分はあり得ず、協議者の名前も記されており理由にならない。労働組合法7条2項(使用者が正当な理由なく団交を拒むこと)に基づき救済を求める」と述べました。
またJHUの山口宏弥委員長は「JALはこれまで争議団とは交渉せず、労組としか交渉しないとしてきた。労組としての交渉も拒否されている」と現状を告発。
退職した労働者をめぐっては「解雇の効力や退職条件等の未解決の労働条件に関する団交を求めている場合には雇用する労働者に含まれると解される」とする判例(住友ゴム工業事件大阪高裁2009年12月22日判決)もあり、JALが解決に踏み出すか今後に注目が集まります。
【東京民報2021年5月23日号より】