
羽田空港の増便のため、都心の上空を低空で飛ぶ羽田新飛行ルートが、昨年3月29日に強行実施されて1年余。深刻な騒音、落下物の危険などを心配する声が広がっていますが、小池百合子知事は背を向けています。都議会では、この問題を巡っても、小池知事とともに推進する自民、公明、都民ファーストと反対する日本共産党との姿勢の違いが鮮明になっています。
国は航空需要の増大に対応するためだとして、羽田への新飛行ルートの導入を計画。飛行ルートの直下に当たる品川区議会や渋谷区議会では、反対や見直しを求める決議や意見書が採択され、都内各地で行われた説明会でも、圧倒的多数の参加住民から、騒音や落下物に対する国の対策は納得できないという声が上がりました。
国は地元自治体や住民の理解を得ることが、新飛行ルートの前提条件だと明言してきましたが、その約束は投げすてられました。米コロラド州でのエンジン落下事故(21年2月)があっても、コロナ禍で海外からの観光客が見込めなくなっても、新ルートは見直されることはありません。小池知事は都議会で追及されても「東京が国際競争力を持って持続的な発展を続けていく、そのためには、羽田空港の機能強化を図ることは不可欠だ」の一点張りです。
日本共産党は「この問題の核心は、住民の命や暮らしがどうなろうとも経済の活性化や国際競争力を優先する国や知事の姿勢にある」と指摘(21年3月の予算特別委員会で白石たみお都議)。小池知事に対し、都民の命を守る立場に立って、中止を国に求めるよう、繰り返し迫っています。
一方、最大与党の都民ファーストの会は、前回都議選で「羽田空港を機能強化し、国際線発着枠を4万回拡大」を公約に掲げ、この4年間で「実現」したことをホームページに掲載し、アピール。議会でも小池知事と足並みをそろえて推進してきました。
自民党は「都心上空ルートによる羽田空港の機能強化が実現できるよう、知事としてしっかり取り組むことを強く求める」(18年12月本会議討論)と、小池知事を後押しし、コロナ禍の中でも一貫して推進を主張。公明党は「新ルートは東京2020大会を成功させるためのルート」とする一方、「都心の人口密集地の上空を低空飛行しない航空システムの構築」を求めるなどと発言(20年2月の代表質問)。
しかし20年10月の都議会では、新ルートの中止・撤回を求める陳情2件を、都ファ、自民とともに反対し、不採択にしました(表参照)。

東京民報2021年6月6日号より












