人権侵害の早期解決を 東京地評ら 都内各地で争議支援行動〈2021年6月6日号〉

 「すべての争議の全面解決を」―。コロナ禍でシュプレヒコールが唱和できなくても、大雨に負けない熱い思いが幾重にも重なり合い、道行く人の足を止めます。5月27日、全労連・東京地評争議支援行動が開催されました。早朝から4コースに分かれ争議の早期解決を求めて、21社に向けて要請団を送り出しました。東京都労働委員会(都労委)、中央労働委員会、東京地裁、最高裁にも要請団を送り、公正な対応と早期解決を求めました。

日本財団と笹川保健財団が入るビルの前で訴える国公一般労組の中本邦彦執行委員長=2021年5月27日、港区

 京王電鉄本社前(多摩市)には40人以上の支援者が集結。「同社系列の京王バスは効率を追求して分社化を行い、運転手の処遇を改悪した結果、生活のために疲弊するほどの残業をしなくてはいけない状態。改善を求めた労働組合(労組)員を差別している」として改善を求めました。同じ運輸関連の労働組合から建交労東京本部や航空連のあいさつがありました。

 国立ハンセン病資料館の管理運営を2020年から引き継ぎ、労組員である2人の学芸員を事実上の解雇とした公益財団法人笹川保健財団(港区)前にも多くの支援者が駆けつけました。

 原告を支援する会から、都労委の審問を傍聴した熊谷尚子さんが参加。前運営者の日本財団、今の運営者の笹川保健財団ともに「人権問題に理解がない」と告発。「SDGS(誰一人取り残さないという、持続可能な開発目標)が進む中、人権をはく奪された方々の生きて戦った事実を伝える場です。後世に残すもので消してはならない施設。人権を侵害する運営者には任せられない」と力を込めました。

 午後の一番雨の激しい頃、東京美々卯京橋店跡前(中央区)には傘の花が幾十にも重なりました。全労連・全国一般労組美々卯分会の組合員の他、東京美々卯の記事を書きスラップ(嫌がらせ)訴訟を受けているフリーライターの北健一さんと出版労連の組合員、支援者が集まりました。

 北さんは「訴えられると憂うつ」だとしながらも、「報道で解雇された労働者の声が世間に届くことも許さないとすることだ」とスラップ訴訟の本質をつきました。さらに「東京に店の灯がともるまで分会への支援を今まで以上に広げて欲しい」と訴えました。

IBM、JAL 本社前で統一行動

 午前と午後の各行動の締めくくりは全コースが一堂に会する統一行動。午前は先日、新会社を発足させ、4000人の転籍を公表した日本IBM(中央区)前でした。

 全労連・全国一般東京地本の室井清副委員長が「長く不当な労働問題が社会的に断罪されても、日本IBMは全く改めようとしない」と批判しました。現在4つの裁判が進行する中で組合は「歴史上、社の再編はリストラを伴ってきた」として「すべて解決して歩みだすべきだ」と語気を強めました。

 クライマックスは日本航空本社前(品川区)に全員集合。たたかいを励ますトランペットの調べの後、2010年大晦日に行われた165人のパイロットと客室乗務員の解雇争議の全面解決を求めました。

 全労連の小畑雅子議長は「日本を代表するグローバル企業であるJALは人権侵害を続けている」とし、「解雇された客室乗務員は全員女性であり、働く女性の権利獲得に頑張ってきた人たち。ジェンダー平等にも反している。1日も早く解決すべきだ」と争議に背を向ける姿勢を厳しく追及しました。

東京民報2021年6月6日号より

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