高まる、広がる“五輪中止”の声 市議ら132人「五輪強行は暴挙」〈2021年6月6日号〉

JOCの本部ビル前の五輪オブジェ

 多摩地域の有志地方議員ら132人が5月24日、東京オリンピック・パラリンピック(オリ・パラ)の中止を求める要請書を菅義偉首相、小池百合子知事あてに送りました。「今も緊急事態宣言の中にあり、予断を許さない状況」だとし、「いま我が国が総力をあげて取り組むべきは、感染拡大の防止徹底と医療崩壊の回避、生活困窮者や経営不振に苦しむ事業者等への救済措置の徹底」だと強調。その上で、東京オリ・パラを強行することは「人命尊重、国民生活尊重の観点からも、暴挙と言わざるを得ません」と訴えています。

 さらに、収束とはほど遠い現状を踏まえれば、「責任ある者が中止の決断をし、国際オリンピック委員会に今夏の東京オリンピック・パラリンピックの中止を申し入れるべき」だとしています。

 多摩地域の地方議員らでつくる「市民自治をめざす三多摩議員ネットワーク」が5月21日から議員や元議員に呼びかけ、共産党や立憲民主、社民、生活者ネットなどから賛同が寄せられました。

東京保険医協会「余裕ない医療」

 緊急事態宣言を出す自治体が広がるなど、新型コロナウイルスの感染拡大が深刻化する中、都内の開業医ら約6000人でつくる東京保険医協会は14日、「医療機関はすでに手いっぱい」であり、「感染者数や死亡者数が増加する可能性のあるイベントは、中止することが正しい選択である」として、菅義偉首相らに対し、東京五輪・パラリンピック中止をIOC(国際オリンピック委員会)に求めるよう要望する意見書を送りました。

 五輪開催予定の7月になると、猛暑による熱中症患者が多数発生することは必至であり、医療機関はそれらの患者をコロナ感染者との鑑別がつくまで、一人一人を隔離して診察する必要があると指摘。しかし「対応する医療機関の医師・看護師は既に疲弊しており、手当てするための施設にも人材にも全く余裕ありません」とのべています。

 その上で「いまこそオリ・パラの開催が困難であることを、IOCに打診し、IOCの中止決定を引き出すよう強く要望します」と訴えています。

宇都宮氏が要望書 署名41万超える

 宇都宮健児元日本弁護士連合会会長が発起人となって呼びかける東京五輪の中止を求めるオンライン署名への賛同者は5月31日現在、41万人を超え、さらに増え続けています。5月21日には、それまで寄せられた37万余の同署名を踏まえた要望書を菅義偉首相、橋本聖子東京五輪・パラリンピック組織委員会会長、丸川珠代五輪担当相宛てに提出しました。

 要望書は新型コロナの感染拡大で医療がひっ迫するなかで五輪大会に医療資源を割けば「救える命も救えなくなる」と訴えています。宇都宮氏は「政府がいう安心安全の五輪大会の具体策が見えない」「国民の不安は広がっている」などと批判しています。

東京民報2021年6月6日号より

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