命軽視の政治変えよう 高齢者医療費 2倍化法が成立〈2021年6月13日号〉

 75歳以上の高齢者の医療費窓口負担に2割負担(現在原則1割)を導入する「高齢者医療費2倍化法」が、4日の参院本会議で、自民、公明、維新、国民民主の各党などの賛成で可決しました。日本共産党、立憲民主党などは反対しました。参院厚生労働委員会で同法案が可決された3日には、全国100カ所以上をオンラインで結んで、国会内で院内集会が開かれ、医療関係者や高齢者が「受診控えが広がり、命を危険にさらす」「命を大事にする政治に切り替えよう」と怒りの声をあげました。

「医療費窓口負担2倍化止める」のパネルを示し、アピールする参加者=2025年6月3日、千代田区

院内集会で批判相次ぐ

 2割負担が導入されるのは、当面、単身世帯で年収200万円以上、夫婦世帯では年収320万円以上。高齢者全体(約1870万人)の2割にあたる約370万人が対象になります。

 対象は政令で定めることが可能で、今後、さらに拡大していく恐れがあります。

 3日の院内集会で、全国保険医団体連合会の住江憲勇会長は、5月25日の参院での審議入りからわずか4日の審議で採決を強行しようとする政府与党の姿勢を厳しく批判。「コロナ禍のなかで、日本の医療制度の脆弱ぜいじゃくさがあらわになった。その医療制度をさらに改悪しようという政治に、怒りの声をあげよう」と呼びかけました。

 立憲民主党、日本共産党から国会議員が参加。日本共産党の井上哲士参院議員は、「負担増による受診控えが広がること、現役世代の負担軽減といいながら保険料軽減額は月約30円にすぎないことなど、政府の言い分はことごとく破たんしている。しかも、田村憲久厚労相は、今回の対策を『弥縫びほう策』と述べており、2割負担の範囲をさらに広げようというねらいだ」と告発しました。

 全日本年金者組合の加藤益雄副委員長は、「年金額も引き下げが続く中、『2カ月に1回の年金支給日を待って、病院に行く』という組合員もいる。さらに負担を増やすことは、高齢者は早く死ねといわんばかりの政治だ」と批判しました。

 全日本民医連からの参加者は、「患者からのアンケートでも、負担増になれば『通院回数を減らす』という声が多く寄せられている。『生きる希望を失う』『これ以上、何を削れというのか』という怒りの声も多い」と紹介。「立川相互病院が『もうカンベン オリンピックむり』と窓に張り出したら、大きな注目を集めた。コロナで多くの人が苦しんでいるからこその共感だ。そこに、医療費2倍化などとんでもない」と、怒りの声をあげました。

 日本医労連の佐々木悦子副委員長は、「コロナ禍で国民が苦しんでいるもと、政府は社会保障を充実し、安心して暮らせる政策こそ進めるべきだ」と強調しました。

 行動提起した、日本高齢期運動連絡会の武市和彦事務局長は、「法案が強行されても、2割負担の施行期日は2022年10月以降で、政令で定めるとしている。それまでには、(都議選、衆院選など)選挙もある。法案を実施させない取り組みを、大きく広げていこう」と呼びかけました。

東京民報2021年6月13日号より

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