ずさんな要請、つぶす気か 中小企業 協力金の矛盾に怒り〈2021年6月20日号〉
- 2021/6/20
- 新型コロナ対策
東京都がコロナ禍による緊急事態宣言などに基づき営業時間の短縮や休業に応じた事業者に対して給付する「感染拡大防止協力金(協力金)の支給が遅い」「対象が分かりにくい」との声が当事者から上がっています。また街中では空き店舗が目立つようになり、ビル一棟丸ごと空いている所もあります。支給の遅延は「業者の淘汰に直結する」「小池百合子都知事の政策は行き当たりばったり」との声も聞かれます。日本の企業数の99.7%を占める中小企業をしっかりと支えない都政に未来はありません。

港区にあるライブハウスでは、昨年12月18日~今年1月7日までの協力金が口座に振り込まれたのは5月18日。申請は1月27日に済ませていたので、入金までに4カ月弱、要したことになります。この事業者はそれまで5回申請を行い、順調に支給されてきたといいます。
経理担当者は「相談センターの電話に問い合わせても、処理中と言うばかりだった」と訴えます。一方で営業時間は午後8時までに短縮しアルコールの提供は中止。インターネット配信も行っていますが、売上が1万円にも満たない日もあるため、親族などからの融資やクラウドファンディングも試みて「努力の限界を超えた」と訴えます。場所柄、家賃などの固定費の負担も重く、店主は副業で生計を維持しています。
「仕事になっていませんが、ミュージシャンの技量を鈍らせないためにも休業はできない」と文化を支えるために必死です。
遅延の原因は数カ月にも渡り問い合わせたところ、「前経営者から経営譲渡の際の処理の不備があるため支給できないと言われました。これまで支給されていたのに急にダメなんておかしい。しかも、その指摘も何度も何度も電話してようやくわかりました。電話相手は民間のコールセンターで話が通じない」と憤ります。その後、修正し支給に至りましたがその間、見通しが立たずに不安でたまらなかったと言います。
ミニシアターも苦境
豊島区にある56席のミニシアター「シネマハウス大塚」も、東京都の要請に基づいて休館していました。常設館でなくレンタルスペースですが、昨年からキャンセルなどで100万円強の損害が生じているといいます。今月から営業を再開していますが、後藤和夫館長は喜べないと語ります。
「ミニシアターは大手が上映しない映像作家の主張の強いものや、個性的な作品を上映することが多いのです。表現の自由の担保や映画文化を守る砦の役割がある。休業や営業短縮が経営を圧迫すれば、良質なドキュメンタリー映画などが上映する場を失う」と警鐘を鳴らします。
また「飲食店と違って協力金の明記がない。文化施設への補償ははっきりしていない。今回はミニシアターエイドというクラウドファンディングに助けられました」と言います。一方で、「映画館でクラスターが発生した事実もなく、映画館が危険とのエビデンスもないのに要請されている。一方で満員電車などは放置で理不尽だと感じます」と憤りを隠しません。
地域経済を守って
後藤館長は「パンデミック規制で(異論を許さない)全体主義化しているのではないか。オリンピック・パラリンピックは戦争の時のように進められている。政府・東京都のずさんな計画と要請、思いつきにつぶされてはいけない」と前を見据えました。
港区のライブハウス関係者も「テレビで小池都知事が協力金を払うのも大変と言うのを見て頭に来ました。払いたくないのを匂わせていて、私たちの淘汰を待っているのかと思います」と語気を強めます。
中小企業の淘汰は地域経済の崩壊につながるー。こうした政治を切り替えられる東京都議選はまもなく始まります。
東京民報2021年6月20日号より












