
五輪大会の「無観客」開催の決定を受けて東京都は9日、都内90万人の小中高生を観戦動員する計画(学校連携観戦)について中止を決定。同日、各区市町村教委に通知を出しました。ただパラリンピックについては、観客の取り扱いが五輪閉会後に決まるためとして、従来の方針を変えていません。
日本共産党都議団は、この間繰り返し、五輪中止とともに児童・生徒を観戦に動員しないよう求め、7日にも先の都議選で当選した19氏が揃って知事宛てに中止を要請していました。
江東区でインターネットによる中止署名を呼びかけた新日本婦人の会江東支部のメンバーで小学生2人の母親、石川麻弥さん(35)は「署名は3万4000人を超えています。運動を続けたことで中止自治体が広がり、都の決断につながったのではないか。感染拡大や熱中症を心配していたので中止になって本当に良かった。引き続き五輪中止とパラリンピックへの動員中止も求めていきます」と話しています。
観戦中止自治体 リアル地図が拡散
リアルタイムで観戦動員を中止した自治体が分かる地図がSNSで拡散され、評判を呼びました。発信元は日本共産党の紫野あすか三鷹市議です。紫野さんは「中止自治体を可視化することができ、運動を広げるのに役立ったのでは」と話します。
三鷹市では、学校連携観戦に加え、市内の井の頭公園で計画されたライブサイト(大画面で競技中継を観戦)にも不安が広がりました。市民による中止署名が広がり、市を中止へ動かしました。
紫野さんは11日にJR三鷹駅前で開いた「街角トーク」で、「学校では音楽の時間でも歌えない、リコーダーは吹けない、笑いながら給食も食べられない。1年以上お孫さんと会えていない人もいます。がまんしている人、困っている人を助けないで、『安全・安心』の五輪は絵空事です。みなさんの声で冷たい政治から希望をもって暮らせる政治に変えましょう」と呼びかけました。
東京民報2021年7月18日号より