小池知事は7月23日の臨時都議会であいさつし、「何としても大会を成功させる」との決意をのべ、専門家が感染拡大が「最大の危機に直面」と指摘する中でも五輪開催に固執する姿勢を改めて示しました。
都の専門家ボード座長の東北医科薬科大学の賀来満夫特任教授は、一日3000人を超える感染が起こりうるとして、「東京都が最大の危機に直面している」と警告しています。
小池知事は、加速するコロナ感染拡大や、選手も含めた大会関係者の相次ぐ感染など深刻な実態には全く触れず、「この大会はコロナ禍という人類共通の危機を乗り越え、その先のより良い未来を創り上げる」出発点と強調。「徹底した感染防止対策による安全・安心な環境」のもと、「大会運営に万全を期す」などと、実態とかけ離れた空虚な言葉を並べたてました。
公開質問状に回答 根拠なき安心安全
「安全・安心」を繰り返す小池知事ですが、その根拠について、全く示せないことが、日本共産党都議団が提出した公開質問状の回答(7月20日)で、改めて浮き彫りになりました。
質問状(7月14日提出)は都と組織委員会に対し、「安全・安心の大会」を掲げる以上、その根拠について説明責任を果たすよう求めたもの。しかし15項目ある質問一つひとつに具体的な回答はありません。回答を公表した記者会見(21日)で、和泉なおみ幹事長は「具体的に答える根拠を持っていないことを示すものだ」と指摘しました。
例えば、感染急拡大の中で、中止の検討や中止の基準を示さないのかとの質問に無回答。大会スタッフのワクチン接種状況やPCR検査実施計画についての質問にも答えていません。また五輪開催によって人流が増えるのではないかとの質問には、一部競技を除き無観客とし、効果がほとんど見られないテレワークなどの「スムーズビズ」等の推進により、抑制に取り組んでいるとしただけで、人流拡大は否定していません。
和泉氏はコロナ感染が急拡大する深刻な実態を示し、「安全・安心な大会として開催できる条件は、ますますなくなっている」と強調。「都民・国民の不安や疑問に答えることもできないまま、五輪に突き進むことは許されない」と批判。改めて五輪中止を直ちに決断し、都民の命を守るためにコロナ対策に全力を集中することを強く訴えました。
〈2021年8月1日号より〉