新型コロナの感染拡大が、急加速しています。東京の1日の新規感染者数は4千人を超える日が出始め、全国の増加幅も前週の2倍を超えるペースになっています▼専門家でつくる政府のアドバイザリーボードは、「危機感を行政と市民が共有できていないのが、現在の最大の問題」と指摘します。国や都は、五輪開催にこだわって、感染症対策の強化と矛盾するメッセージを発し続けています。さらに、ワクチン接種の進展で「重症者数が減ってきている」との楽観論も、首相らが繰り返し語っています▼その一方で政府は2日、新型コロナ感染者の入院に関する考え方を転換し、感染拡大地域では重症者やリスクの高い人を重点的に入院させ、それ以外の患者は原則、自宅療養にするとの方針を示しました。深刻な症状が出ている中等症の人たちが自宅にとどまることになり、在宅死の増加を生みかねません。深刻な医療崩壊が、目の前に迫っています▼五輪開催がコロナ対策に逆行しているとの指摘にも、小池知事は「五輪はステイホームに一役買っている」と否定します。足元では、大幅に対象を絞った都独自基準の重症者数ですら、急速な増加傾向を見せています。国政、都政のコロナ対策に向き合う姿勢の転換は待ったなしです。
〈東京民報2021年8月8・15日号より〉