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- 山添拓コラム・未来を拓く「入管行政の闇を明るみに」〈2021年8月29日号より〉
名古屋入管でスリランカ人女性が亡くなった事件で、ビデオ録画の一部がようやく遺族に開示されました。ベッドから落ちたウィシュマさんが23回助けを求めたのに3時間も放置される―「姉は動物のように扱われていた」といい、遺族は最後まで映像を見ることができませんでした。なんと痛ましいことか。
今月公表された入管庁の報告書を早速読みました。死因は不明としていますが、亡くなる3週間前の尿検査は「飢餓状態」の異常値。衆院予定候補で医師の谷川智行さんにも読んでもらうと、「食べたり飲んだりできなかったから亡くなったと考えるのが普通」と即答。ところが入管は、点滴もせず入院もさせず、体調不良を訴えるのは仮放免されるための「詐病」と疑っていました。報告書は「医療体制の制約」を課題としていますが、人を人として扱わない姿勢こそが問われています。
直ちに法務委員会で閉会中審査をと求めました。すると理事懇談会で自民党理事は、「オープンな場で突っ込んだ質疑がされると亡くなった方の名誉にかかわる」と拒否。オープンにできない闇はどこまで深いのか。
今年5月、ウィシュマさんの葬儀で名古屋を訪れた際、支援団体STARTの学生のみなさんと懇談しました。被収容者のひどい待遇や難民申請が通らない実態を知り、知ったからには動かなければと、取り組み始めたといいます。その輪が大きく広がり、通常国会では入管法改定案を廃案に追い込みました。ビデオの全面開示も必ず実現させ、入管行政を根本的に改めたい。
〈東京民報2021年8月29日号より〉