ハンセン病資料館 新館長は人権侵害解決を 学芸員 都労委に救済求める

首都圏争議支援総行動で笹川保健財団(日本財団ビル)前にて抗議を行う組合員と支援者= 5 月27 日、千代田区

 90年にも渡った国策による深刻な人権侵害と差別の歴史と正しい知識を伝える場であるはずの「国立ハンセン病資料館」(東村山市)でハラスメント(嫌がらせ)が横行していると告発し職を追われた2人の学芸員が、復職を求めてたたかっています。東京都労働委員会(都労委)に救済を申立て調査が続く中、同資料館の成田稔館長(94)が辞任し3代目館長に内田博文氏(74)が7月1日、就任しました。新館長の下で問題の解決を期待する支援者の声が広がっています。

 同資料館の館長は、これまでは治療に携わってきた医師が務めてきました。九州大学で「ハンセン病患者の権利問題」などに取り組んできた法学者(刑事法学)である内田氏の起用は異例です。

 同資料館は厚生労働省の管轄で、当初より運営は外部に委託されてきました。入札で委託先を選定、単年度の業務委託契約を締結し、一昨年度まで公益財団法人日本財団が4年間受託していました。

 昨年度からは日本財団の実質的な関係組織である公益財団法人笹川保健財団が、入札に参加し受託。職員は受託者が雇用していますが、これまでは受託者が変更されても学芸員などの一般職員の雇用は継続されてきました。

 しかし、笹川保健財団は受託が決まると、これまで例のない採用試験を突如実施。国家公務員一般労働組合(国公一般)国立ハンセン病資料館分会の組合員の2人を不採用としました。組合員は職場復帰を求めて、都労委に救済の申立てをしてたたかっています。支援する会も結成され、2万2000人を超える署名も集められています。

監視カメラで組合員の記録

都労委での調査後の報告会で稲葉分会長(右)= 5 月31 日、新宿区

 代理人の今泉義竜弁護士は、「委託変更に伴う採用試験など他にも前例がなく、試験で多面評価するとしながら2人以外は従来の雇用を維持していることは矛盾」と指摘しています。

 同分会は2016年に結成され、同資料館内で横行するハラスメントなどの改善を求めてきました。しかし、前委託事業者の日本財団は改善を行うことはありませんでした。

 都労委の調査の中で、日本財団の委託時から複数台の監視カメラで組合員のみを監視し記録していることが判明し、現在も続いています。今泉弁護士は「組合員排除は明らか。さらに監視内容の記録には組合員を侮蔑的な呼び名で記しており、職場内で人権侵害が横行していることも看過できない」と東京民報の取材に答えています。

当時の館長からセクハラ被害も

 同資料館に18年間、専門職として勤務してきた元学芸員の稲葉上道分会長は、自身が受けたパワーハラスメント(パワハラ)について「2016年に起きたある語り部による悪口をきっかけに、その語り部から解雇を求める厚労相への手紙、自治会の文書、全園への放送で誹謗中傷された」と語ります。当時の成田館長に相談すると「我慢」するよう指示され、日本財団のハラスメント委員会に訴えたところ、改善どころか業務に支障をきたすようなハラスメント行為が始まったと証言しています。

 同じく不採用になった女性組合員は成田館長に手を握られる、太ももを触られるなど、セクシャルハラスメント(セクハラ=性的嫌がらせ)の被害を訴えます。事業部長や日本財団に相談しても、他の職員の証言をもとに「セクハラはない。あなたが館長を触っていたのだろう。館長の言うことは絶対」と言われ、成田館長からの「辞めさせてやる」などのパワハラ発言により体調を崩しています。

 都労委の調査が最終局面を迎えている今、新館長の下「人権の砦とりで」で起きている人権侵害の早急な解決が求められています。

〈2021年9月5日号より〉

 

 

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