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都立病院独法化やめよ 都議会で公営企業決算委 里吉都議 行政的医療果たす松沢病院 気候危機対策の目標引き上げを
- 2021/11/30
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都議会は15日、公営企業会計決算特別委員会を開き、日本共産党の里吉ゆみ都議は地元、世田谷区の都立松沢病院(精神科808床、一般90床)について公立の精神科病院として他の医療機関では難しい、都立だからこそ果たせたコロナ禍での業績について多角的に質問。都が強行する都立病院の地方独立行政法人化は行うべきでないことを浮き彫りにしました。
都立松沢病院は142年の歴史があり、東京だけでなく日本の精神科医療をリードしてきました。黒沢靖副知事も里吉都議の質問に答えて、「専門性の高い精神科医療を提供するとともに、他の医療機関や保健・福祉施設等と密接な連携を推進することにより、地域の精神科医療の水準向上に貢献し、東京都における精神科医療の拠点として重要な役割を果たしている」との認識を示しました。
ところが東京都は、都立病院と公社病院の経営を、経営効率を優先する地方独立行政法人に移管する方針を2019年12月の第4回定例会で突然打ち出しました。都は新型コロナウイルスの感染が急拡大し、医療がひっ迫する中でも、職員に負担をかけて準備を進めてきました。
永年勤続の職員人件費で問題視
里吉都議は昨年度、松沢病院が受け入れたコロナ患者数について質問。西山智之病院経営本部長は「疑いも含めて延べ3689人」とし、2020年4月から受け入れたことも明らかにしました。
里吉都議は同病院がコロナ対応で他の医療機関や施設に行った支援や、その理由についても質問。西山本部長は「クラスターが発生した医療機関や高齢者施設に、医師や看護師などが施設のゾーニングや防護具の管理対策について研修を行った」と答弁。理由について「都立病院の役割は行政的医療の提供と地域医療充実への貢献」であり、「職員がこれまで培ってきた知識やノウハウを活用することで対応できた」と答えました。
里吉都議はこれに対し、独法化を進める都設置の委員会で、看護師などの職員が長く働き続けることを、人件費の関係で問題視する発言が出されていることを指摘。首都圏の独立行政法人が運営する病院の看護師の平均年齢が29・9歳、平均勤続年数が6・1年という都のデータもあげて、勤続年数が短くなれば「培った知識やノウハウを生かした対応は困難になる」と強調しました。
不採算の医療担う都立病院
精神科病院に入院していて新型コロナに感染しても、コロナ治療のための転院ができずに亡くなった患者は、日本精神科病院協会の調査で分かっているだけでも235人にのぼっています。
一方、松沢病院では、がんやコロナをはじめとする精神科以外の病気や骨折などのけがを治療する「精神科身体合併症医療」に、積極的に取り組んでいます。
里吉都議は精神疾患の人が他の病気やけがをした場合の松沢病院の役割を質問したのに対し、西山本部長は「松沢病院は精神科疾患による不穏、興奮等の症状があり、一般の整形外科で治療することが困難な精神科身体合併症患者を積極的に受け入れている。都立病院は、こうした行政的医療を提供するという役割を担っている」と答えています。
里吉都議は、こうした医療が不採算となる理由と独法化しないと強化できないのかとただしました。西山本部長は「多くのスタッフが必要となり、入院期間も長く、診療報酬が低いことから、採算の確保が難しい」と認めた上で、「独法化のメリットを生かして充実、強化していく」と、メリットの根拠も示さずに強弁しました。
里吉都議は、松沢病院が最も不採算な精神科身体合併症医療を積極的に行えるのは、行政的医療を担う都立病院だからであり、今でも医師の確保をはじめ独自に同医療を強化できていると強調。都は「歳出削減が独法化の目的でない」と言うが、独法化で経営効率が優先されれば「不採算部門の縮小など、医療の後退につながる」と指摘。さらに経営形態が都直営から独法に代わることで、他の行政部門から切り離され都全体の精神医療の水準後退にもつながるとし、独法化の中止を求めました。
気候危機の対応さらなる加速を
非常事態と呼ぶべき気候危機が深まる中、世界各国、都市に対応が迫られています。都は今年3月に策定した「ゼロエミッション東京戦略Update & Report(アップデート&レポート)」で、2050年までに二酸化炭素排出実質ゼロに向け、30年までに2010年比で排出量半減の目標を提示。「あらゆる分野において、全方位で脱炭素行動を加速させていく必要がある」としています。
里吉都議は、この目標にかかわって、水道、下水、交通の公営企業3局に対し、「今までの延長線上でない取り組み」を求めました。
水道局は都民に供給する水をつくる過程で、都内の使用電力量の約1%に当たる年平均約8億㌔㍗アワーという大量のエネルギーを消費しています。浜佳葉子水道局長は、省エネ型ポンプの導入、浄水場への太陽光発電設備の設置などを進めていると答弁。また、多摩川上流域に保有する水道水源林の健全育成、管理の実施で、年間約2万3000㌧の二酸化炭素を吸収し、地球温暖化防止に貢献しているとしました。
神山守下水道局長は、汚泥焼却時に大量に発生する二酸化炭素の300倍の温室効果をもつ一酸化二窒素を削減する焼却炉導入で、目標を達成できたと報告。内藤淳交通局長は、鉄道やバスなどの公共交通機関が環境にやさしい交通手段であり利用を促進すると強調。また都営バスの低公害・低燃費車両導入が条例上の義務である15%を上回る43%を達成していると報告しました。
里吉都議は各局の取り組みを評価した上で、新たな目標に合わせて目標を引き上げるなど、取り組みの加速を求めました。