将来を選ぶ権利奪わないで 医学連ら 医学部の地域枠めぐり会見〈12月5日号より〉

 大学医学部入試において設けられている「地域枠制度」に人権上、問題があるとして11月19日、日本医学生自治連合(医学連)、全日本医師ユニオン、労働弁護団の代表らが記者会見を行いました。

 「地域枠」は、へき地や医療過疎地域などの医師不足が生じる地域の問題解消のために、奨学金や入試制度で特別枠として設けられている、高額の奨学金と引き換えに最低9年間などの長期間、指定された病院での就労を強いる制度です。

 会見で労働弁護団の市橋耕太弁護士は「事情があり地域枠から離脱するために、貸与された奨学金や違約金を支払っても、実質的に専門医資格の不認定など不利益が生じる」と告発。

 その上で「山梨県では利息の他に違約金を課し、支払総額は最大で2340万円にもなる。一括支払いを強要され、他の奨学金と比較しても高額だ。年10%、他遅延損害金14・5%は利息制限法を超えている。さらに入学後、本人の了承なく条件がより厳格化されるなど労働基準法16条違反であり、人権侵害だ」とサラ金以上の金利と手法を批判しました。

 医師ユニオンの植山直人代表は「大学は職業訓練校ではなく、学生は在学中に学び将来を選択する権利がある。大学の在り方を歪めるものだ」として、医師不足解消の抜本的な解決を求め、厚労相に意見書を提出したと述べました。

 医学連の代表らも「結婚、育児、介護など将来どうなるか不安。入学は18歳、卒業は24歳、それから9年先は誰も予想できない」と胸の内を語りました。医学部入試は定員減で激しさを増し、自宅から通学できる学生も少なく高学費に加え経済的負担が重くなっています。

(東京民報2021年12月5日号より)

関連記事

最近の記事

  1.  待機児童、介護離職、残業、都道電柱、満員電車、多摩格差、ペット殺処分。こう聞いて、すぐに共通点が…
  2.  「裏金事件」で自民党への批判と怒りが大きく広がるなか、公職選挙法違反事件で有罪が確定した柿沢未途…
  3. 球場とラグビー場の再生案を発表した会=10日、豊島区  神宮球場と秩父宮ラグビー場を取り壊し…
  4.  今年1月に起きた日本航空機と海上保安庁機の衝突事故をうけて11日、日本航空被解雇者労働組合(JH…
  5. 市議会本会議で初質問に立つ荒木市議  市議になる前は、33年間、都内の私立校で数学教員をして…

インスタグラム開設しました!

 

東京民報のインスタグラムを開設しました。
ぜひ、フォローをお願いします!

@tokyominpo

Instagram

#東京民報 12月10日号4面は「東京で楽しむ星の話」。今年の #ふたご座流星群 は、8年に一度の好条件といいます。
#横田基地 に所属する特殊作戦機CV22オスプレイが11月29日午後、鹿児島県の屋久島沖で墜落しました。#オスプレイ が死亡を伴う事故を起こしたのは、日本国内では初めて。住民団体からは「私たちの頭上を飛ぶなど、とんでもない」との声が上がっています。
老舗パチンコメーカーの株式会社西陣が、従業員が救済を申し立てた東京都労働委員会(#都労委)の審問期日の12月20日に依願退職に応じない者を解雇するとの通知を送付しました。労働組合は「寒空の中、放り出すのか」として不当解雇撤回の救済を申し立てました。
「汚染が #横田基地 から流出したことは明らかだ」―都議会公営企業会計決算委で、#斉藤まりこ 都議(#日本共産党)は、都の研究所の過去の調査などをもとに、横田基地が #PFAS の主要な汚染源だと明らかにし、都に立ち入り調査を求めました。【12月3日号掲載】
東京都教育委員会が #立川高校 の夜間定時制の生徒募集を2025年度に停止する方針を打ち出したことを受けて、「#立川高校定時制の廃校に反対する会」「立川高等学校芙蓉会」(定時制同窓会)などは11月24日、JR立川駅前(立川市)で、方針撤回を求める宣伝を21人が参加して行いました。
「(知事選を前に)税金を原資に、町会・自治会を使って知事の宣伝をしているのは明らかだ」―13日の決算特別委員会で、#日本共産党 の #原田あきら 都議は、#小池百合子 知事の顔写真と名前、メッセージを掲載した都の防災啓発チラシについて追及しました。
ページ上部へ戻る