違法性判断なく却下判決 石神井まちづくり訴訟 来春に再度提訴へ〈12月19日号より〉

 練馬区の西武池袋線石神井公園駅南口西地区再開発事業の見直しを東京都と練馬区に求める「石神井まちづくり訴訟」が11月18日、東京地方裁判所で訴え却下の判決を言い渡されたことを受け、原告団と弁護団、住民らは9日、石神井庁舎で裁判の経過と解説、今後の方針についての報告会を開きました。

 判決は「法廷に持ち込むのは時期尚早」という一点での却下判決と考えられ、弁護団の解説によると「同事業の違法性について、裁判所は何も判断していない。(訴訟の)タイミングだけの問題」と強調しました。

尾谷恒治弁護士の解説を聞く石神井の住民ら=9日、練馬区

 通常、市街地再開発事業は「都市計画決定」→「組合設立認可(事業計画決定)」→「権利変換計画認可」の流れで進みます。行政訴訟は長い時間を要すため、裁判中に既成事実が積み重なり、裁判で違法と判断されても事業を容認せざるを得ない「事情判決(時間切れ判決)」が下される可能性があります。そのため同訴訟は「都市計画決定」が告示された昨年12月19日に、即日提起しました。

 弁護団は「今後、組合設立認可処分が出され、当該組合が事業計画を策定する。その段階で取消訴訟を起こせば、事業の違法性について議論ができる」と却下について前向きに解釈。訴訟の意義として「まちづくりは誰のためのものなのか。官民が一方的に利益を奪い、街並みを壊すことは許されない」と主張し、「練馬区は事業が適法だと考える論拠を一度だけ示した。それに対する反論を考えていきたい」と述べました。

 原告団長の清水正俊氏は、「新たに地権者が原告に加わることになり、より大きな原告団になった。ここであきらめるわけにはいかない」と決意表明。組合設立認可申請が出ると予測される来春あたりに、再度訴訟を起こす予定です。

(東京民報2021年12月19日号より)

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