十条再開発は街壊しの暴挙 北区73号線 行政寄りの判決に批判〈12月19日号より〉

 北区十条の住民ら120人が原告となり、東京都に対して特定整備路線補助73号線道路事業の認可取り消しを求める行政訴訟で、東京地裁は13日、原告の請求を棄却する判決を言い渡しました。120人中40人に原告適格を認めながらも、原告側の主張をことごとく退ける結果となりました。

 補助73号線は、現道のない北区十条台2丁目から十条仲原2丁目に、約890㍍(幅員20~30㍍)の道路を整備する計画。2015年2月に事業認可され、住民らが17年8月に提訴しました。

 十条は補助73号線の整備にあわせ、高さ約146㍍のタワーマンションを含む大規模複合型施設を建てる「十条駅西口地区市街地再開発事業」、補助85号線の拡幅などが計画されています。これによりJR埼京線十条駅周辺では600軒、2100人の立ち退きが迫られており、都内有数の商店街「十条銀座商店街」の衰退も危惧。住民らは「街壊し」「暴挙ともいえる開発」と訴え、計画の見直しを求めて声を上げています。

補助73号線裁判の報告集会で不当判決について意見をのべる山添氏(右)。隣は原告団長の岩波氏=13日、千代田区

 閉廷後の報告集会では、弁護団の大谷恭子弁護士が判決について解説。争点のひとつ、1946年の都市計画決定は内閣の認可がないなど不明瞭な点があり、関係図面が現存せず都市計画と事業認可が適切なのか疑問があると繰り返し主張してきた原告団に対し、地裁は「違法とはいえない」と判断しました。

 大谷弁護士は、行政訴訟は裁量権が行政側に大きくあるが、人権に関わること、住民の生活に大きな影響を与える場合には「司法も積極的に介入すべき」と主張。「司法さえも行政の判断に謙抑的(控えめにすること)になると、人権を守る最後のとりでの裁判所は、何をどこでどう判断してくれるのか」と司法の姿勢に疑問をのべました。

 報告集会に出席した日本共産党の曽根はじめ都議は、「特定整備路線の計画は10年オーバーしている。皆さんのたたかいで、都市計画は通用しないことを証明してきた」と激励。同党の山添拓参院議員も駆け付け、「住民無視で街を壊すようなやり方が、街づくりの名のもとで進められていいのか」と訴え。「コロナ禍で困っている人たちに給付金を配るべきだと、私たちは主張してきた。国民の命や暮らしを守るためのお金はバラまきだと批判する行政が、道路建設などには巨額の税金を使う。行政のあり方がそもそもおかしい」と力を込めました。

 最後に、原告団長の岩波建光氏があいさつ。「予想通り不当判決が出た。私たちが立ち退きさえしなければ、道路はできない。最後の一軒になっても私は動かない。だって悔しいじゃない。生きているうちは頑張ろう」と会場を盛り上げました。

 上告については、近日中に判断する予定です。

(東京民報2021年12月19日号より)

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