大幅値引きを追認 晴海選手村裁判 原告の訴え退ける〈1月2,9日号より〉
- 2021/12/30
- 都政・都議会
東京都が2021年夏に開催したオリンピック・パラリンピックの選手村用地(中央区晴海)を不当に廉価で売却した行為は違法だとして、住民らでつくる「晴海選手村土地投げ売りを正す会」が小池百合子知事らを相手に起こした住民訴訟で、東京地裁(清水知恵子裁判長、岡田幸人裁判長代読)は12月23日、「譲渡価格の適正を欠くものとはいえない」として原告側の訴えを退ける判決を言い渡しました。
都は都有地(13・39㌶)を選手村の建設用地として、都議会や価格審議会にかけることなく、公開価格の10分の1以下に当たる129億6000万円で、大手不動産会社11社に売却しました。この譲渡契約をめぐり、会のメンバーは不当に安価であり、都民の損失だと主張。小池知事らに適正価格との差額約1200億円を請求するように求める住民訴訟を2017年8月、東京地裁に起こしました。

判決後の記者会見で、中野幸則原告団長が声明を発表。「都は都市計画決定も経ず、正式な不動産鑑定書も作成せず、1通の価格調査報告書のみで〝オリンピック要因〟という1点において金額を定め、売却した」と強調。原告は都と事業協力者との協議議事録の公開を求め続けましたが、「廃棄済み」との理由で公開を拒否したことの裏にある官製談合の疑惑を主張しました。
弁護団の淵脇みどり弁護士は、「公共の福祉に資する都市再開発法が乱用され、不動産鑑定士という法律に則った枠組みすらも踏みつぶし、土地の公平さを揺るがした。決して許してはならない」と訴え。原告らは控訴する決意を示しました。
(東京民報2022年1月2,9日号より)