【健康コラム】これにて一件落着といかない 後遺症の診療経験の集約と同意で提言〈1月30日号より〉

 新型コロナ感染から無事生還し、決まり台詞で。“これにて一件落着!”。

 そう簡単にいかないみたいだねえ。回復後も長期持続する症状があるから。後遺症(罹患後症状)です。

 感染回復6カ月後の検討ではー。(JAMA Netw Open 2021.10.13)

 57の研究をまとめて。対象は生存患者250,351人(平均54歳)、急性期の入院歴79%。結果は。

 “後遺症は54%(中央値)に”“多かった症状は呼吸困難、疲労・倦怠感、不安、集中力低下だった”

 12カ月後、後遺症はどうなったか。退院患者1,276人(中央値59歳)を追跡。(Lancet 8.28)

 “大半の患者は良好に回復、元の仕事と生活に。健康状態(運動能力、痛み・不快感、不安・うつ病)は健常人と比べ低かった”

 複雑にしてしつこい。

 その仕組みがわかってきました。(BMJ 7.26)

 “ウイルスは複数の臓器の細胞内に侵入(多くの種類の細胞にあるACE2受容体を介して)。呼吸器系、循環器系、神経系、消化器系、筋骨格系などの機能を損傷する”“最終的に多数の長期間持続的な症状(後遺症)を引き起こす”

 いま後遺症診療の根拠はほとんどありません。こんなとき新たな臨床経験が最良の指針になるという。

 英国が採った方法です。

 後遺症の臨床経験豊富な医師33人が意見と集約を繰り返し(デルファイ法)、同意90%以上の項目35を提言にまとめ、推奨しています。(BJGP 10.28)

 例えば、呼吸器症状があれば早期に胸部エックス線検査を検討、息切れがあるなら原因が心臓にある可能性を考慮など、です。

 熊本市民病院の橋本洋一郎首席診療部長はいう。「一つ一つ解析して治せるものから治していくことが重要です」 (上野敏行)

(東京民報2022年1月30日号より)

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