【アーカイブ】新型コロナ 母子世帯のくらし支援を 実態調査もとに会見〈2020年9月6日号より〉

 コロナ禍でシングルマザーの就労や生活がどのような影響を受けたのか―。実態を明らかにすべく支援団体と研究者らが調査を実施しました。厚生労働省内で8月28日、速報に基づく記者会見が開かれました。

 会見には認定NPO法人しんぐるまざあず・ふぉーらむの赤石千衣子理事長、立教大学コミュニティ福祉学部の湯澤直美教授、関西学院大学の大崎麻子客員教授らが参加。

記者会見で話す(左から)湯澤、赤石、大崎の各氏=8月28日、千代田区

 「1800人の実態調査」を基礎に、支援団体・ジェンダー平等など政策の専門家、研究者らによるシングルマザー調査プロジェクトチームの分析を交えて説明しました。

 主に①雇用・収入への影響②預貯金額の減少と借金額の増加③ケアワーク(子育て)と臨時休校・登校自粛の影響④心理的ストレスの程度⑤制度の認知とアクセス―において影響が顕著であるとしています。

7割が収入に影響

 収入に関しては影響があったとする世帯は70・8%であり、独立行政法人労働政策研究・研修機構の全国調査結果の44・9%と比較すると影響がより大きいことが明らかになりました。

 非正規雇用やシフト勤務の人も多く、労働日数・時間の短縮による収入源が、もともと経済的に脆ぜい弱じゃくな母子世帯に大きな影響を及ぼしていることが明らかになっています。

 解雇や自宅待機指示を受け休業補償がないという人も少なくありません。中には「週に1~2に減りこの先どう生きていけば?子どもたちは2食(1日)で我慢してもらい、私は2日に1食が当たり前」という記述もあり、支援をしたと言います。「お母さんは8㌔㌘痩せていました」と赤石理事長が言葉をつまらせる場面もありました。

 母子世帯の中にはドメスティックバイオレンスで居所などの開示禁止をしている場合もあり、生活保護に容易に結び付けられないこともあります。

 またもともと経済基盤の弱い母子世帯は十分な預貯金がなく、コロナ禍での収入減少のために泣く泣く子の就学準備の預金を取り崩すということも散見されています。

 家賃や光熱費などの支払いの滞納世帯が1割いることも見過ごせません。また収入減のために生活必需品をクレジットカードで購入、金融機関から借り入れなども起きていて返済に不安を抱えている姿も明らかになりました。

情報をきめ細かく

 一斉休校・登校自粛による影響も顕著です。給食がなくなり食費が増大する一方で、「就学援助制度による給食費分」を、世帯に直接支給しなかった自治体も多くあり、改善が急務といいます。

 仕事を休めないため、自宅で子どもだけを留守番させることの不安の声も多数上がっています。また親が新型コロナに罹患した場合、子どもの世話をする人がいないので行政の支援が求められています。

 インターネットを用いた授業もパソコンやタブレットがない家庭も少なくないために、子どもの学習権が脅かされています。貸し出しなどで対応できても問題はあります。ある学生は民間のオンラインでの子どもイベントに参加。家族旅行の体験など生活実態の格差などを目の当たりにしてショックを受けてしまったというケースもあるといいます。

 日々の生活で手一杯の母子世帯は、生活支援等必要な情報へたどり着くことが厳しい状況です。必要なサポートが利用できるように周知に工夫が必要です。情報が限られていると必要な給付が受けられないなどの不利益が生じるだけでなく、精神的にも追い詰められてしまうため、従来に増して行政のきめ細やかなサポートが求められていると支援団体は指摘しています。

(東京民報2020年9月6日号より)

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