新成人の決意 いのちと向きあい歩む 未来へ羽ばたけ看護学生 東葛看護専門学校〈1月16日号より〉

 コロナ禍で医療現場の困難さが、刻々と報じられる中で看護師を志す若者たちがいます。「コロナ禍を理由にやめようとは思わなかった」と、そのまなざしは未来を見据えています。成人の日(10日)を前に、学びを通じ感じて行動に移したことや社会に願うことなどを、医療法人財団東京勤労者医療会「勤医会東葛看護専門学校」の自治会のみなさんに聞きました。

 東葛看護専門学校では3年生は卒業を控えて国家試験の対応などのため、自治会は2年生を中心に活動しています。2年生は新型コロナのパンデミック後の入学ですが「入学をためらったことはない」とメンバーは口をそろえます。

イラスト・井桁裕子

 看護師を志望した理由は「祖母の看取りを通して看護師の仕事を目の当たりにした」や、「幼少時の入院経験時、看護師が家族までサポートした姿を見てあこがれてきた」、「母親が看護師でその姿をかっこいいと思ってきた」など様々。しかし、「実習を通じて看護師の命にかかわる責任は重いと体感したけれど、やりたい気持ちが高まった」との仲間の声に大きく頷き合います。

実習が困難でも

 同校は実習に力を入れていますが、コロナ禍において実習がこれまでの日程で出来ないなど困難が生じています。

 その中で、座学では体験できない経験は貴重です。2年生の男子学生が担当した患者は、体も動かず嚥下機能が低下していて胃ろう(胃に直接流動食を入れる)や気管切開などの延命措置を拒んでいたといいます。「〝生きることをあきらめたのかな〟と悲しく思っていたら、音楽を聴いて楽しみ豊かに過ごしていた。本人の願いはしたいことをして生きること。延命しないイコール生きることをあきらめるではないことを知った」と話しました。

 また2年生の男子学生は体に麻痺があり入院し人工透析をする40代の患者について語りだしました。「住宅ローンを抱えていて子どもが私立校。入院費の負担が大変で、家に帰りたいと言うけれど、年老いた親がいて無理だと言う。生活保護が使えないかと制度を調べましたが無理でした」と悔しさをにじませます。「何もできず悲しい。(支援)制度も知らないし、自分の力不足でどうしようもない」と涙をこぼしました。

 しかしへこたれてはいません。「患者の経済的事情で家に帰れないのは、おかしい」との思いを、「社会や制度を変えたい」との願い実現の原動力につなげています。

選挙へ行こう、と

 3年間の学びのなかで今、日本が「戦争ができる国」になろうとしていることを知り、平和を守る大切さを育んできました。総選挙では自治会が中心となって「選挙に行こう」とキャンペーンを行いました。

 有名芸能人やアーティストが「選挙に行こう」のアピール動画をSNSで流しているのを使い、「各候補者が何をしているのか。何を訴えているのか」を資料を活用して学生に訴えました。

 「これまでも今の3年生が〝1票で日本が変わる〟ととりくんでいたし、今回も選挙へ行こうというアピール文を出しました」と語ります。「政治に目を向けていこう、なんで選挙に行かないの?、1票がここにいっぱいあるという気持ちでした。行動の後友達から“心に響いた”と言ってくれて良かった。うれしいし、やりがいあると感じました」と笑い合います。

学び応援の社会に

 学生たちは学業を続けるために、授業が終わった後、コンビニや飲食店などで深夜までアルバイトにも精を出してヘトヘトになることも。

 同校の授業料は年間42万円、その他に制服や教科書、通学定期代、実習の交通費などは自前です。他のきょうだいがいる場合は家庭の負担も考えると奨学金だけでは厳しいのが実情です。

 コロナ禍でアルバイトも時間が減らされ、休業補償が得られないこともあります。さらに実習2週間前からは、感染対策のためにアルバイトは禁止になるので貯金を切り崩してやりくりします。しかし、訪問看護ステーションの実習では学校と実習先を往復することもあり、「昼食費を削る」ことも考えるほどで「学生を支援する返還のない給付金の実現は切実」と強調します。

 「政治はどうなっているのでしょう。軍事費やオリンピック、GoToなどお金の使い道が違います。もっと国民に目を向けて欲しい」

 「社会をしっかり見られる看護師になりたい」―新成人の思いにこたえられるか、社会・政治の真価が問われます。

(東京民報2022年1月16日号より)

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