【アーカイブ】“離婚前”ひとり親を救え 手当も受け取れず困窮 実態調査もとに会見〈2020年11月22日号より〉

 「別居中・離婚前のひとり親家庭」はセーフティネットの対象外―。当事者へのアンケートでこのような実態が浮き彫りになりました。アンケートは今年9月10~23日に「別居前のひとり親家庭」実態プロジェクトチームが実施し、262件の回答を得ています。調査した結果が11日、記者会見で公表されました。

7割が相手のDVを経験

 アンケートをもとにプロジェクトチームが提言したのは「DV(ドメスティックバイオレンス=心身への暴力による支配)で避難中などの世帯が児童手当を受け取れるようにして欲しい」ということです。

 今回調査の回答は98%が母子家庭。その内の7割が相手からのDVを経験し、就労世帯年収は200万円未満です。

当事者も参加した記者会見=11日、千代田区

 現状では、別居中・離婚前で子どもを養育していない配偶者に児童手当て支払われ続け、子どもを養育するひとり親家庭は困窮しているケースもあります。DV保護法により住民票の閲覧を制限しているなどのケースも少なくなく、命の危険を考えると配偶者に送金を依頼することもできません。そもそも、児童手当を受け取りながら、離婚前の配偶者と子に婚姻費用(夫婦で分担すべき生活費)さえ支払わないケースも大多数です。

当事者も実態を訴え

 会見には当事者も参加。3人の子と暮らす母親は夫に人格否定や無視をされ、住民票を移さずに転居。住民票が動かせないために3人分の児童手当は夫が受け取り、児童扶養手当も申請できませんでした。「世帯主に支給ではなく、子どもを育てている方に支給してほしい」と訴えます。

 2人の子の母親は日常的に暴力やモラルハラスメントがひどく、夫から一方的に離婚調停を申し立てられ、2年前に別居。夫に知られないために実家に帰ることもできず、引っ越しも重ねているとのことです。

 夫は離婚調停を取り下げ、離婚しないために裁判を起こし、探偵を使って居場所を追い続け、病院を受診すると弁護士が情報請求する嫌がらせが続きました。新型コロナの臨時特別給付金も夫が受給。「隠れて暮らす2年でした。いつまで続くのか。離婚していなくてもひとり親です」と声を詰まらせました。

手当は子どもの生活保障に

 会見では子育て家庭を支援する認定NPO法人フローレンスの駒崎弘樹代表理事が「手当てを母子に渡すという相手ばかりではない。確実に子ども(の生活)が保障されるべき」と話しました。

 「住まいと仕事が不安定、保育園や学校を決めなくてはという不安、離婚手続きなどの他に自分と子どものケアの6重苦になっている」と切り出したのは、認定NPO法人しんぐるまざあず・ふぉーらむの赤石千衣子理事長。「子どもを養育するための児童手当が当事者に届かないのはあまりに理不尽」と訴えました。

 福井県立大学の北明美教授は「公的な調査には離婚前のひとり親の調査が存在せず、統計すらない制度のはざまで苦しんでいる」と指摘しました。

 都内在勤の21年前に3人の子どもを連れてDVを理由に逃げた母親は、「当時3歳の子どもらを連れて家を出ました。障害児もいたのですが、児童手当と児童扶養手当は私の手元に来ず児童扶養手当の申請もできませんでした。その時から何も変わっておらず残念。改善が急がれます」と話しています。

(東京民報2020年11月22日号より)

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