多様な教育取り戻そう 東京教育集会を開催

 憲法を守り生かし、子どもの学習権・生存権を保障する教育を取り戻すことをテーマに、「2・5東京教育集会」が5日、全国教育文化会館(千代田区)で開かれました。会場とオンラインを含め、約200人が参加。長引くコロナ禍の下、子どもたちの健やかな成長や個々に手を差し伸べられる教育の実現、平和な未来を願う取り組みの輪を広げるため、山積する教育問題を報告し合い、学びと交流を深めまた

 東京大学大学院教育学研究科の本田由紀教授が、「日本の教育の特徴と課題」について講演。日本の教育は、学力といった「能力」の一元的な尺度に基づき、縦に格付けされる「垂直的序列化」と、特定のふるまいや考え方を全体に強制し、「態度」や「資質」を評価の対象にする「水平的画一化」が支配している実状を説明。これが児童生徒の出身家庭による学力格差を顕著にし、社会的な排除にもつながっていると指摘しました。

「日本の教育の特徴と課題」について講演する本田教授=5日、千代田区

 本田氏は、国が推進する教育政策により児童生徒が打ちのめされているとして、高校1年生を対象にしたPISA(OECD〈経済協力開発機構〉が3年おきに実施する国際的な学習到達度調査)による「生きる意味」の国際比較データ(2018年)を提示。調査に参加した73カ国中、日本は最下位で、「生きている意味が分からない若者を、政治や社会がつくり出している現実を直視すべき」と声を強めました。

 学校教員の現状を見ると、グローバル化などにより教員の仕事は拡大。不登校児童生徒や校内暴力行為など、学校現場が抱える問題も増え、中学校教員の労働時間は世界48カ国の週平均38・3時間に対し、日本は56・0時間。小学校教員は54・4時間です。

 本田氏は「担任学級の児童生徒数が多いほど、勤務時間が長くなるのは自明の理」と強調し、学力格差の是正、学びの意義回復、生徒個々人を尊重する観点からも、少人数学級の必要性を主張しました。

 その上で、誰もが尊重され、可能性を発揮することができる社会を実現するためには社会のありかたを180度変え、多様な個人が等しい人権や権利を持って活躍できる「水平的多様化」への転換が鍵になると指摘。「大事なことは児童生徒の評価ではない。どれだけきめ細かく、それぞれの子どもたちに何をやってあげられるのかということが大切」と語りました。

勤労青少年の定義 非正規雇用なし

 リレートークでは、9つのテーマについてスピーチ。「子どもと教科書全国ネット21」の代表委員で同集会実行委員会の石山久男事務局長は、政府が昨年4月に閣議決定した教科書記述の訂正強要について発言。「従軍慰安婦」という用語は「慰安婦」に、「強制連行」や「強制労働」は「徴用」を用いるよう教科書を書き換えさせたのは、「学問の自由を侵した点で憲法違反であり、子どもが事実を学んで成長する権利を奪った」と憤りました。

 東京「君が代」裁判第5次訴訟の原告団、井上佳子氏は、裁判の状況を説明。都立高校は生徒に「君が代」斉唱を強制している現実があると述べた上で、「宗教や外国にルーツを持つ生徒など、さまざまな背景を持つ生徒がいる。人権侵害に加担する側に自分が回ってしまうことが恐ろしい」と語りました。

 「小山台高校定時制の廃校に反対する会」の横山尚子、小林早苗の両氏は、夜間定時制高校の存続を求めて訴え。18年に雪谷高校定時制(大田区)、19年に江北高校定時制(足立区)の生徒募集停止が決まりましたが、小山台(品川区)と立川高校定時制(立川市)は、請願署名などの運動により23年度までの募集が発表されたことを報告。東京都が廃校理由のひとつに勤労青少年の減少をあげていることについて、「勤労青少年の定義に非正規雇用労働者が含まれていないことが判明した」と、怒りを込めて廃校反対を訴えました。

〈東京民報2022年2月20日号より〉

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