神宮外苑 樹木1000本を伐採・移植 「珠玉の景観 存亡の危機」

 東京都都市計画審議会は9日、樹齢100年を含む約1000本もの樹木を伐採・移植する一方、神宮球場の建て替えや超高層ビル2棟などを建設する、神宮外苑地域(約66㌶、新宿区・港区・渋谷区)の再開発計画案を賛成多数で承認しました。日本共産党の2都議の他、1人が反対しました。多くの都民、専門家が同計画の見直しを求め、世界遺産の推薦の権限を持つ日本イコモス国内委員会は「珠玉の文化的な景観」が「存亡の危機に瀕している」と、警鐘を鳴らしています。

豊かな樹木が残される神宮外苑地域(新宿区)

批判の中、都計審が承認

日本イコモスが見直しの意見書

 神宮外苑地域は、樹林地や水辺地などの保護を目的とした都市計画法による「風致地区」に指定。「優美な風致を特に保全すべき地域」も含み、開発許可には厳しい基準が設けられていることで、自然環境が長く守られてきました。一方、2020年の東京五輪による新国立競技場の建設を契機に、規制緩和が進み、高層の建築物が周囲に建つようになっています。

 問題となっている再開発計画は、専門家の調査で伐採・移植される樹木は1000本超に及びます。一方、「公園まちづくり」の名で、オフィス・商業施設が入る185㍍と190㍍の超高層ビル2棟や、ホテルを備えた新神宮球場、国立競技場よりも高い屋根付きの新ラグビー場の建設などを予定しています。

 日本イコモス国内委員会は「『公園まちづくり』という名のもとに、コロナ時代に逆行する高密・高層化の都市再開発計画が行われようとしている」として、計画の実態が分かる模型を作製し、計画見直しを求める意見書を都に提出していました。

隠していた伐採数 原田都議が追及

原田あきら都議

 この日の審議会で日本共産党の原田あきら都議は、都は昨年7月に環境影響評価書案の記載から伐採・移植の規模を認識していたのに、住民説明会でも都市計画審議会にも情報提供していなかったと告発しました。

 原田都議は「神宮外苑を守る有志ネット」の活動を紹介し、日本イコモスの石川幹子東大名誉教授が調査した、樹木の伐採移植の実態がわかる立体模型を資料として配布。さらに事業者がより詳細な伐採・移植の地図や、計画を視覚的に認識できる立体模型も作成しているのに審議会に提供・展示していないのは、重大な問題であり、議論の前提が成り立っていないと追及しました。

 また、都が樹木伐採後は事業者が伐採数より多く植栽するとしていることについて「百年の大木であろうが芝生や屋上の植栽であろうが面積で同等に扱うことになっている」と指摘。「伐採後は芝生や単なる植栽が中心の見るも無残な神宮外苑が浮かび上がる」と訴えました。

公園から容積移転 前代未聞の対応

 原田都議はまた、超高層ビル2棟の高い容積率が、都市計画公園の敷地から分配されてくることを指摘し、「前代未聞であり、都市計画公園のあり方を一変させる暴挙だ」と都の対応を追及しました。

 土地には建物を建築する際に、そこにどれだけの床面積を作っていいのかを決める「容積率」が定められています。都は高層ビルを建設する予定地の容積率を上積みするために、都市計画公園から容積を“分配”するとしています。また、ビルを建設する予定の伊藤忠と三井不動産の2社が、容積を金銭で購入することも原田都議の質疑で明らかになりました。原田都議は「歴史と環境を売り払う行為」だと厳しく批判しました。

 原田都議はまともな資料提供もなく、都民的議論が尽くされていないとして継続審議の動議を提出。議長がこれを無視しようとして審議会は一時混乱。しかし議長は動議に対応せず採決を強行しました。

(東京民報2022年2月20日号より)

※WEB版追記(2022年2月21日)神宮外苑の再開発計画の見直しを求めるネット署名が、Chang.orgで開始されました。

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