【 #Web東京民報 連載】東京わがまち③ 焼けた懐中時計
- 2022/3/7
- WEB版連載

1945年3月10日のアメリカ軍による東京大空襲で、一夜にして10万人以上の人が命を落とし、罹災者は100万人に及んだ。
325機のB29爆撃機が、木造家屋の密集する東京下町を中心に、風の強い日を選んで、超低空から焼夷弾を投下するという大量無差別爆撃で、区部の三分の一が焼失した。
墨田区横網町公園には、関東大震災の被災資料とともに、東京大空襲の戦災関係資料が展示されている。
空襲で焼け焦げた懐中時計は、持ち主を失った時刻を指し止まったままだ。じっと見ていると、二度と戦争などせぬようにと、静かに訴えかけているようだ。
写真・文 夏目安男
〈東京民報 2015年3月15日号より〉
※WEB版追記 写真家の夏目安男さんは2021年12月に亡くなりました。ご遺族の許可を得て、東京民報での連載「わがまち東京」をWeb版連載として掲載します